News 2026.05.29
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新書『宇宙に外側はあるか』(松原隆彦)

新書『宇宙に外側はあるか』(松原隆彦)

【スピリチュアル譚と宇宙論の違い】

私は元々理系の人間である。少なくとも高校までは数学と物理が得意だった。だから大学は理系学科に進んだ。だが大学ではすっかり遊んでしまったので以来、得意とは言い難いが今でも理系思考はできるつもりである。

同じ理系科目の中でも化学は苦手だった。その差は何かと言えば、物理の扱う事象は目で見えるが、化学のそれは分子レベルで行われ、目に見えないということになろうか(もっとも最近は物理も化学も本質には同じだと考えるらしい)。

この、目で見て確認できるか否かというのは、ものごとを理解するうえで、少なくとも私の場合はとても重要である。したがって、話は少し飛躍するがスピリチュアルな現象とか、オカルト的な言説にはまったく興味を持てないというか、信用するに値しない。

だが、たとえ物理学であっても目視で確認できるのはニュートン力学までで、相対性理論や量子力学の領域になると、頭の中で想像するしかなく、理解が追いつかなくなる。

さて、この『宇宙に外側があるか』という知的好奇心をくすぐる魅力的なタイトルの新書を読むに当たって、少し難しそうだが(冒頭で書いたように)理系思考はできるはずだから、いけるだろうと思ったのである。だが、宇宙の把握はニュートン力学で足りるはずはなく、相対性理論や量子論の話がほとんどで、ちんぷんかんぷんであった。

というのは、この広い宇宙は決してユニバース(一つ)ではなく、論理的に存在可能な宇宙は10の500乗もあるマルチバースだなんて話をフツーの人は信じられるだろうか。ここまでくると、スピリチュアルやオカルトとほとんど一緒である。

終盤、著者は我々読者に「次のどれが存在すると言えるか」と問う。

①自分の目で実際に見ることのできる宇宙の範囲

②人類がこれまでに観察したことがある宇宙の範囲

③まだ人類には観測されていないが、原理的には観測できる宇宙の範囲

④いくら技術が進んでも原理的に観測できない宇宙の範囲

⑤原理的に観測できないが、論理的に存在可能な別の宇宙

⑥論理的に存在可能かどうかを原理的に証明できない別の宇宙

⑦論理的に存在不可能な別の宇宙

なんだか、禅問答の様相を呈してきたが、私が存在すると言えるのはせいぜい②、百歩譲って③である。だが著者が言うには、言葉遊び的な⑦を除いては③や④はもちろん、⑤や⑥であっても考える余地があるようだ。貴方は理解できそうだろうか?

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