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映画「ムスタング」(監督 ロール・ドゥ・クレルモン=トネール)

映画「ムスタング」(監督 ロール・ドゥ・クレルモン=トネール)

【劇的ではないリアリティ】

映画は多くを語ってはくれません。セリフも少ない。ただ淡々と、服役中の男が暴れ馬を調教していく様子――結果的には調教に失敗する様子――が描かれています。なので、鑑賞者はその背景を想像するしかありません。

どうやらこの男、妻に暴力をふるい障害を与えた罪で服役していて、たまに面会に来る娘との頼りない繋がりを心の拠り所としているようです。

観ている者としては、そんな彼が野生馬の調教を通して、彼自身も更生していく様子を期待します。しかし、映画が進んでも、なかなかその兆候はみえてきません。直ぐにカッとなる性格は終盤になっても相変わらずです。

それでも馬の方が彼に心を開き、その調教は成功したかに思われました。しかし、調教されたとする馬のオークションで、彼の馬は暴れてしまいます。オークション会場に来ることを約束した娘が来なかったことで、落胆した彼の動揺が馬に伝染したかのようでした。

暴れた馬は、安楽死させられます。それを知った彼は、馬を逃がすのですが、それも何だか短絡的な行動に見えました。

しかし、少しずつ彼が人間らしい心を持ち始めている様子が伺えました。文字通り劇的に人間が変わった、更生したなどというハッピーエンドではありません。しかし、それだけにエンドロールで流れた「野生馬調教プログラムを受けた受刑者の再犯率は極めて低い」はリアリティがありました。

画像引用元 FRONTROW

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