映画「ストレイ・ドッグ」（主演 ニコール・キッドマン）

【老け顔ニコール・キッドマンのリアリティ】

たしかに人間、一皮むけば皆同じストレイ・ドッグ（野良犬）かもしれませんね。彼女のように警官だって、目の前に大金があれば、目が眩んでしまうこともあるでしょう。野良犬が路傍に落ちている物を拾い食いするように。もちろんこの私も、その時の状況次第ではそちら側に行ってしまわない自信はありません。悲しいかな、それが人間というものです。

主演を務めたニコール・キッドマンは大好きな女優ですが、彼女の映画はどれも彼女が美しすぎて、どこか現実味に欠ける──というのがこれまでの印象でした。どんなにハードな役をこなしても（彼女はスタントマンや替え玉を使うことを徹底的に拒否するらしい）、スクリーンの中の絵空事になってしまうのです。うーん、美しいというのも考え物ですなあ（最近は女性を容姿で語るのはご法度のようですが、女優さんはいいですよね？）。

しかしこの映画では、おそらく特殊メイクで作り込んだであろう彼女の老け顔が冒頭の感想をもたらすほどリアリティのある作品に仕上げています。

ハリウッド映画には珍しく、罪を犯した人間の内面を描いた良い作品です。