テレビドラマ『埋もれる』(主演 桐谷健太)
【後日譚(創作)】
それから数日後、あの池に白骨化した死体が浮いているのを付近の住民が見つけた。死体の身元は、ほどなく浅尾葉子の元夫・山地公平だと判明した。
死後5~7年ほど経過しているとみられ、死因の特定は難しいようだ。警察は山地が自殺したものと考えているらしい。彼は生前、隣人・熊沢加代子の娘を轢いてしまったことを苦にしていたからである。
だが、俺は自殺とは思えない。轢死事故を機に山地は仕事もせず酒に溺れ、葉子や息子の優人に暴力を奮うのが常態化していた。一方、加代子もまた事故とはいえ、娘を殺された恨みは相当なものだっただろう。つまり、三人には山地を殺す動機があった。
このうち、優人は当時まだ小学校に上がる前後のはずだから実行犯にはなり得ない。葉子と加代子のどちらか……いや、その後の二人の関係性──加害者家族と被害者家族にしては割と良好だ──に鑑みれば共謀した可能性が高い。
二人は山地の死体をあのスーツケースに入れたのだろう。死体さえ見つからなければ事件にはならない。実際、山地は失踪人扱いだった。そこで、スーツケースを埋もれさせるために、加代子の家をゴミ屋敷にしたのだ。誰も近づけないように。だが、例のボヤ騒ぎのなかで俺はあの重たいスーツケースの存在を知ってしまった。
池に死体を沈めたのは優人だろう。ゴミ屋敷のゴミの強制撤去が決まり、近くスーツケースが白日の下に晒される──そう危惧した優人が、あの雨の日、夜陰に紛れてスーツケースを運び出したのだ。そして中身だけ池に捨て、スーツケースには泥土を入れて持ち帰ったのだろう。重さを保つために。
俺がスーツケースを開けようとしたとき、葉子は必死で止めた。
「北見君、それは開けないで!」
「俺は真実を知りたい…」
そう言って、俺は開けてしまった。だが、中には死体ではなく泥土しかなかった……。あの瞬間、葉子との関係は終わってしまった。
さて俺はどうすべきだろうか。東京で、勤めていた会社の食品偽装を内部告発したときには正義を貫いたつもりだったが、結果として周りの誰もが幸せにならなかった。
俺が通報すれば、警察は動くかもしれない。その結果、三人は相応の罪が問われるだろう。だが、それで誰が幸せになると言うのだ。
俺は今、離婚した元妻の由香から復縁を迫られている。娘の舞衣を想えば、それが望ましいのも分かっている。だが、何故か踏み切れないでいる……。
画像引用元 WOWOWオンデマンド puriushi blog


