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テレビドラマ『石つぶて 〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜』(主演 佐藤浩市)

テレビドラマ『石つぶて 〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜』(主演 佐藤浩市)

【国庫の支出がノーチェック】

私の平日の仕事で言えば、区画整理事業や再開発事業などの法定事業を行うと国庫補助により事業費の一部を賄うことができる。国庫のおカネを受ければ当然、会計検査院の検査対象になるが、これが実に大変である。

検査そのものが大変なのではない。検査を受ける側の準備が滅茶苦茶大変なのだ。検査当日、検査官のどんな質問にも立て板に水のごとくスラスラと答えられるように、膨大な想定問答を作り上げ、その裏付け資料もすべて完璧に取り揃えねばならない。泥縄式に作らなければならない資料もあって、検査前1か月は関係者は徹夜の連続になる。国民の血税を原資とする国庫を使うということは、そのくらいシビアなことなのである。

ところで、民間企業ではある程度の役職につくと、自分の管轄する部署の経費の決裁権を持つようになる。その中には自分が使った経費も含まれる。それを知ったとき、なるほど、サラリーマンというのは偉くなりたいわけだ、と思った。とはいえ、領収書などの提出は不可欠だし、あまりに非常識な金額であれば、税務調査を受ける経理部から疑義を差し込まれるだろう。

だが、世の中には国庫を使っても会計検査の対象にならず、領収書の提出も不要というカネがある。それが機密費だ。

本作は、外務省および内閣官房機密費という摩訶不思議なカネの存在を、警視庁捜査二課の刑事たちが初めて白日の下に晒したという、実際にあった事件のドラマ化である。今でこそ、機密費の存在は多くの人が知っているし、ときどき国会などでも野党がその使い方を追求することがあるが、この事件が発覚するまでは誰も知らなかった。

機密費は数十億円というカネが国庫から支出されるにもかかわらず、会計検査院による通常の検査も免除されているばかりか、領収書の提出も不要で原則使途が公開されることはない。もちろんこれには、外交上や内政上の情勢に鑑みて機動的に支出することが国益に資するという大義名分がある。

だが、誰のチェックも受けないということになれば、当然この事件のような不正は起こるべくして起こる。ドラマは結局、総理官邸への上納金の存在などは明らかに出来なかったし、キャリア官僚の逮捕は叶わず、ノンキャリア数人の逮捕に終わった。だが、おそらく歴代ずっとそのような不正が組織ぐるみで行われてきたのは想像に難くない。

とはいえ国家運営の最前線でそうした秘匿性の高いカネが必要になることも理解できる。その存在を暴くことは本当に正義なのか? 実際に捜査した現場の刑事も相当に悩んだであろうことも、これまた想像に難くない。

画像引用元 TCエンタテインメント

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