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書籍「妖怪」(司馬遼太郎)

書籍「妖怪」(司馬遼太郎)

【妖怪と神仏はコインの裏表】

私はもちろん物の怪・妖怪、お化け・幽霊の存在など信じていません。加えて言えば――これは信心深い人には申し訳ないのですが、神仏の類もまったく……。もう何十年も神社仏閣にお参りしたことなどありませんし(正月の初詣にも行きません)、亡くなった妻の墓参りですら、これまた何年も行ってない不届き者なのです。しかし、ユヴァル・ノア・ハラリは著書「サピエンス全史」等で、再三「それらはすべて人間が作った虚構である」と述べています。私は彼を絶対的に支持します(もちろんハラリは信仰心そのものを否定しているわけではありません)。

そうした私からすると、お化けや妖怪などを信じている大人は少ないのに、神仏となると崇め奉る人が多いというのは解せません。本書に出てきた幻術師・唐天子は

「わしを信仰し、わしを祀ってくれる者があってこそ、わしはその者に対し、神通力、法力、霊力を発揮できる」

と言います。彼は少しでも神仏や妖怪の類を畏れる者の心の隙に入り込み、その心に巣食うのです。

つまり、お化け・妖怪と神仏はコインの裏表のような関係にあると言えましょう。西洋の天使(または神)と悪魔の関係が分かり易いでしょうか。自分にとってご利益のありそうな神仏の方だけ信じるというのはご都合主義のように思えます。

もっとも、現代の日本人の多くは確固たる信仰心に基づいて神仏を崇めたり、神社仏閣にお参りしたりしているわけではないでしょう。古くからの日本の文化・伝統(すなわち生活様式)として、それを引き継いでいるに過ぎないのだと思います。

かく言う私も、そうした日本人のDNAから免れないようで、ともすると無意識のうちに神頼みのようなことをしているときがあったり、科学的根拠からは程遠いまじない染みたことをしてみたり、果ては誰も居ないはずの背後に何かの気配を感じて総毛だったりすることがあります。未だ不信心の修業が足りないなあ。

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