テレビドラマ『ブラックファミリア〜新堂家の復讐〜』(主演 板谷由夏)
【板谷由夏の文章力】
今回はこのドラマが初主演だという板谷由夏について書きたい。板谷由夏と訊いてもひょっとしたらピンと来ない人がいるかもしれない。だが、顔を見れば「ああ、あの人か…」と思うに違いない。長らく日本テレビ系列『news zero』のキャスターを務めていた──、そう、あの人だ。
彼女がこの4月から日経新聞日曜版で旅のエッセイを月に一度書いている。その文章が毎回秀逸で、とりわけ9月13日付けの京都に関する話がとても好かった。
以前にも書いた気がするが私は、文章を書ける人は知性も高い、と信じている。前職は設計事務所だったにもかかわらず(所管していたのがコンサルティング部門ということもあって)、新卒の入社試験に小論文を出していたほどだ。学生に付焼刃的な教養や知識を求めても仕方ない。採用したいのは真の知性だからだ。
彼女も別に東大を出ているわけではないようだが、くだんのエッセイを読むと頭はきっと良いのだろうと思う。でなければ、ああいうウイットの効いた文章は書けない。
もっとも彼女に限らず、新聞のコラム記事などに載る著名人の文章はどれも洗練されている。たとえば有名なアスリートなどは幼い頃からその修練に生活のほぼすべての時間を打ち込んできたはずなのに(お勉強をする時間など無かったに違いないが)、それでも支離滅裂な文章になっていない。それは何故か。やはり新聞社の方で相当手を入れているのだろうか。最近ならばAIに手伝ってもらってもいるかもしれない。
たとえそうであっても、彼女の文章にはオリジナリティを感じる。まずテンポが良い。これは重要だ。村上春樹も小説を書く際に最も気をつけていると何かで読んだ。私など素人は、これでもかと修飾語を重ねて、つい読み手のリズムを損ねてしまう。
それと彼女の文章には、独特のユーモアがある。これも大事だ。少し書き馴れれば理路整然とした文章は書けるようになるが(AIに助けてもらえば尚更だが)、ユーモアは本人に知的なセンスがないと成立しない。
冒頭に上げた9月13日のエッセイは全編、機知に富んだユーモアが満載で、読んでいて楽しくなる。出不精の私でも「そうだ。京都、行こう」と思ったほどだ。もちろん、頭の中ではあの名曲「マイ・フェイバリット・シングス」が流れている。
それもこれも彼女が、JR東海のキャッチコピーを軽妙に引用していたからである。やはり、頭の良い人である。
画像引用元 読売テレビ 

