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映画「her/世界でひとつの彼女」(監督 スパイク・ジョーンズ)

映画「her/世界でひとつの彼女」(監督 スパイク・ジョーンズ)

【彼女は貴方にだけ優しいわけじゃない】

途中まで「このOS、ちょっと欲しいかも」と思ってしまいました。このOS──サマンサなら、限りなく私を理解してくれそうです。

この歳になると新しい人間関係を築くのは少々億劫になります。ライトな関係ならまだしも、人生を左右するようなヘヴィーな関係はちょっと……。

とはいえ、「一人では寂しすぎるが、二人だと息苦しい」というのが人間の性。サマンサなら──私にベストフィットするようにプログラミングされるという彼女なら──、その微妙なところを埋めてくれそうです。

しかしそうした考えは、この映画の結末とは異なりますが、じきに間違いだということに気付くのでしょう。なぜなら、私以上に私を理解しているということは、私自身が嫌いなところ──高慢で強欲なところだとか、気が小さいくせに向こうっ気だけは強いところだとか──を、彼女を通して合わせ鏡のように見ることになるからです。

映画の方は、愛するサマンサが自分以外にも心を許している相手がいることを知って、改めて彼女がOSであることに気づく主人公セオドアが悲しいです。……というか私も。

画像引用元 映画評価ピクシーン

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