News 2024.04.15
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書籍「一切なりゆき 樹木希林のことば」(樹木希林 著)

書籍「一切なりゆき 樹木希林のことば」(樹木希林 著)

【彼女のようになれるかな】

読後にまず頭に浮かんだのは、料理でいう「油抜き」という言葉です。著者に脂ぎった欲望が一切感じられなかったからだと思います。

それはまるで悟りを得た宗教者の言葉を聞いているようでした。実際、彼女は出身校の影響を受けて仏教に帰依していたようですが、ここまでの境地に至ることができるのなら、それも悪くありません。

彼女に比べ自分はどうだろう──。あらためて考えました。いまだ物欲もあるし、他人から認められたいという承認欲求もある。食欲は旺盛だし、女の子にもてたいという欲さえなくなっていません。
とはいえ、若い頃と違って自分の身の丈からそれらが叶えられる範囲(多くは叶えられない)も分かっています。その意味では、ワクワクするような夢や野心があるわけではない。したがって、この先さして良いことがあるとは思えません。そもそも、この歳になって良いことって何なのでしょうね。
一切なりゆき、と言えば、そう言えなくもない。彼女のようになれる素養はあると勝手に思っています。

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