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小説「楽園のカンヴァス」(原田マハ 著)

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【男は女性の多面性に振り回される】

物語の前半に張られた伏線は、ラストに近づくにつれ見事に回収されていきます。清々しいほどに。

しかし、そこに至るまでの間、私は主人公である織絵の、あるいは女性の持つ多面性に振り回されることになりました。それは、十代の娘・真絵に手を焼く母の顔、冷徹な研究者の顔、競争相手を気遣う優しい聖母の顔、そして恋に落ちた乙女の顔、等々。一枚の絵を巡ってアンリ・ルソーの真作/贋作の見極めを競い合う相手のティムがまさに振り回されたように。

おっと、回収されていない伏線がひとつだけありました。ルソーの絵のモデルとなったヤドヴィカが宿したのは本当にバイラー(織絵たちに真贋の判定を依頼した伝説の老コレクター)の子だったのでしょうか? 彼女はルソーと一つになれたと言っていましたが……。 そこは自由に解釈してね、というのが作者の考えなのでしょう。

いずれにせよ、女性の持つ多面性はヤドヴィカから孫娘ルルーへ、そして織絵から真絵へと引き継がれます。

それは永遠の美ともいう──。

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