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書籍「20代で身につけたいプロ建築家になる勉強法」(山梨 知彦 著)

【職能としての建築家を学ぶ本】

私が以前勤めていた会社は建築の設計もやるが、土木の設計もやるというギョーカイでは特異な会社でした。そんなの当たり前じゃないの? おそらくフツーの人はそう思うかもしれませんが、実は当たり前じゃないんですね。

なぜなら通常、建築物の設計をやる会社は建築設計事務所と称して、そこでは土木構造物を設計の対象とすることはまずありません。一方、土木構造物を設計する会社は、建設コンサルタントといって(なぜか土木設計事務所とはいわないのです)、建築物を設計することは通常ありません。

これは、それぞれで必要とする技術や知識の体系が違うからなのですが、それらが大学で建築科(なぜか建築工学科とは多くの場合いいません)と土木工学科で区分けされていることが大きいと思います。ちなみに、両者の文化は陸軍と海軍ほど違うという人もいます。

私の場合は、もともと建築志向だった土木工学科卒業者だったので、その両方の組織のある会社に就職したのです。まあ人数割合にしたら、4対1くらいで建築主体でしたから、土木技術者を多く抱えた建築設計事務所というべきかもしれません。

それでも、そんな会社は世の中にそう多くありません。前述のように文化が違うので、普通は相容れないのです。前職でも建築設計部門と土木設計部門が一つ屋根の下にはありましたが、特に必要がない限り自らの範疇の仕事をそれぞれで遂行していました。

フツーの人は、建築物と土木構造物の違いも分からないかもしれませんね。なぜなら、我々を取り巻く空間はそれらが混然一体となって構成されていて、あれは建築物だ、これは土木構造物だなんて意識しなくても何も支障がないからです。そして、実際にその境界は実に曖昧ですし、そのフツーの人の感覚はある意味、的を得ています。

私は以前から会社の中で、「これは他社に無い強みだから、別々に仕事をしないで建築と土木の融合を図るべきだ」と言い続けていました。

現状に満足していた経営陣や、目の前の仕事をこなすのに精一杯の上司・同僚などからはずいぶん疎んじられましたが、あるときトップが替わって私の意見が受け入れられることになりました。

そこで、まずそれを率先垂範して具現化する組織が必要だということで、建築家と土木技術者をまぜこぜにした部署ができて、私がその長に任命されたのでした。私自身は偉そうなことを言っても、土木出身のプランナー(設計に至る前の計画立案者)でしたから、建築は門前の小僧程度の知識しかありませんでした。

とはいえ、建築はもちろん、建築家のメンタリティも含めて理解して、融合しなければいけません。RESPECT DIVERSITYの精神に則り一から勉強するつもりで、この本を読みました。内容としては、現役の学部生や院生がやっておくべきことについて主に書かれていますが、私のような異分野の人間が建築家という職能を理解するのにもたいへん役立ちました。

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