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書籍「本質を見抜く力──環境・食料・エネルギー」(養老孟司 竹村光太郎 著)

【私権だけ振りかざす民主主義】

解剖学者で「バカの壁」の養老孟司氏と国土交通官僚だった竹村公太郎氏の対談集で、環境やエネルギーなどから文明の本質を説いています。十数年前の新書なので、今読むと若干ながら時代遅れに思える部分があるのはやむを得ないとして、多くはタイトルの通り本質をついていると言って良いでしょう。

とりわけ我が意を得たりと感じたのは、農業経済学者の神門善久氏を加えた議論のなかで指摘された戦後民主主義の欠陥です。それは、「私権の主張」ばかりが優先され、「参加する義務」を欠いているという指摘です。

すなわちそれは、「行政が案を出してくれ。俺たちはそれに対し私権を振りかざして文句を言うから」式の民主主義になってしまっているという指摘です。あるいは、何か問題が噴出すると、誰でもいいから責任者、つまり「悪者」を見つけて、そいつの所為にすべてしてしまおうということにする社会。その悪者は、行政をはじめ、政治家だったり、大企業だったり、著名人だったりします。

たとえばそれは、少し前の話題で恐縮ですが、フクシマにおける東電や原子力保安院が典型です。もちろん、東電や担当の行政組織などに問題があったのは事実でしょう。しかし本来は、当時の原子力行政を過去において認めてきた我々一人ひとりの責任のはずです。しかし、そうした原子力行政を認めてきたという認識は我々にはありません。なぜなら、決定する時に我々は、我関せずを決め込み、議論に参加していなかったからです。

そうしたこの国の民主主義の欠陥──大きな組織や著名人などの失敗だけをあげつらう──は今や、マスコミの先導とネット社会の進展(ネットの匿名性)によって、より顕著になっているような気がします。もちろん、私もそれを構成する一人であることは否めません。

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