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小説「白痴・青鬼の褌を洗う女」(坂口安吾 作)

これを手にしたのは私が五十半ばを過ぎた頃でした。「青鬼の褌…」のみを読んだと当時の記録にあります。五十半ばと言えば同作に登場する久須美とほぼ同年齢です。

老境の孤独に耐えきれずサチ子という禁断の実を口にした久須美は地獄の苦しみを味わうことになります。まあ、当然ですね。サチ子とは空間を共有できても、時間を共有することはできません。寂寥感はかえって増すばかりでしょう。だからといって手放すこともできません。彼はまさしく地獄を徘徊する青鬼です。

だがしかし、その褌を洗う女もまた鬼なのです。生活力の乏しかったであろうこの時代の女性は誰もが「野垂れ死」への不安を抱えていたのではないでしょうか。多かれ少なかれ「オメカケ症」であっても不思議ではありません。そうした中で人一倍オメカケ症のサチ子もまた孤独だったのです。

さて翻って現代、生活力のある女性は格段に増えました。しかし、それでも孤独という点では何ら変わっていないのかもしれません。生活力があろうとなかろうと、男だろうが女だろうが煎じ詰めれば人は皆孤独、地獄を徘徊する鬼でしょうか。

ところで何で「青鬼の…」だけを読んだのだっけ?

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