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小説「女のいない男たち」(村上 春樹 作)

【それは彼女と時間の共有をできなくなること】

女性に去られてしまった男、あるいは去られようとしている男が描かれている短編集。そう聞いて、これは読まねばなるまいとその時思った。
それは、私が「ドライブ・マイ・カー」の家福のようにかつて妻に先立たれ、そして「独立器官」の渡会のように、これまでの人生で何人かの女性から手痛い別れを告げられ、あげくちょうどその頃「シェエラザード」の羽原のように一人の女性に立ち去られようとしていたからだ。私は「女のいない男の世界選手権」がもしあったら(そんなものがもしあったらの話だが)、日本代表になれるくらいの自信があるのだ。
「女のいない男を経験した者は、その後新たに女性に巡り会えたとしても、その瞬間から彼女を失うことを考え始めてしまう」。
その通りだ。知り合うことの喜びよりも、失うことへの不安が先に立ってしまう。
「何より辛いのは、彼女たちとの親密な時間を共有できなくなること。女を失うとはそういうことなのだ」。
まったくもって、そういうことなのだ。いくら手を伸ばしても、もう彼女はそこにいない。楽しかったあの時間は戻ってこない。
彼女は違う行き先のバスに乗ってしまったから──。

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