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小説「冷静と情熱のあいだ」( Rosso: 江國 香織 作 Blu:辻 仁成 作)

小説「冷静と情熱のあいだ」( Rosso: 江國 香織 作 Blu:辻 仁成 作)

以前、娘とくだらない話をしている時に、何かの拍子で「同じ事象であっても違う人が見れば、そこに見える事実は違うのではないか。ましてや真実となると……」という話になりました。
そうした小説を書いたら売れるんじゃないかと私が軽はずみなことを言うと、某三流大学文学部卒の娘はそんな試みは既に色んな形でされていて、例えばこの「冷静と情熱…」が典型なのだと宣うたのでした。

ならばということで、雑誌に連載された当時と同じように江國版と辻版の章を交互に読み進めました。小説全体としては私が言った意味とは少し違いましたが、最終章は男の見える風景と女から見たそれの違いが如実に出ていたと思います。真実とは事実を超えた核心的なもののように思いがちですが、あくまでも主観的なものだと改めて思った次第です。

だが順正、そこに未来はないよ。

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