書籍「40代からの住まいリセット術」(水越美枝子)
【スッキリした空間に住むのは大変だ】
片付けを大の苦手とする男やもめとしては、「収納は科学だ」と言い切る著者の潔さに、是非教えて下さい! とばかりに読み進めると、「使ったら戻す」ルールを家族に徹底させることだとおっしゃる。
あのねぇ、使ったら元に戻す──なあんてことができたら、片付けが苦手だなんて言いませんよ、あーた。そもそも、ルールだなんて家の中で一番聞きたくない言葉だ。いや、もちろんたとえ家族であろうと、最低限のルールはあってしかるべきですよ。でもねぇ……。
たとえば、私は本を常時5冊くらい並行して読むのだが、家の中の場所によって読む本を決めている。リビングのソファで読むのはこの本、トイレで読むのはこの本、寝る前にベッドで読むのはこれ、といった具合だ。当然、どの本も読みかけなわけで、それをいちいち本棚に戻して、次に読むときにまたそこに持ってくるなんてことはしない。その場所に行ったときにそれはそこにあって欲しいのだ。できれば読みかけの頁が見開きのまま置かれていて欲しいくらいだ。その状態ですっと手に取れるからこそ、読書が進むというものだ。
本書の極めつけは、収納空間を見つけるために、「常に巻き尺を持って生活しろ」と宣う。亡き妻が今も生きていて、もしそんなことしていたら、私は絶対浮気する。断言しても良い。スッキリした空間に住むために、そんな息の詰まる生活を強いられるなんて、何だか本末転倒していませんか? それともそれで諸悪の根源が居なくなれば、心もスッキリ?
でもまあ実際のところ、本気でスッキリした空間で暮らしたいのなら、著者の言う通りなんでしょうね。ましてや、夫婦といえども他人と共同生活をするとなれば、相手のやり方に合わせざるを得ないのだよね。うん、知ってる。
やっぱ、色んなものが散乱しているやもめ暮らしのままでいいや……(そういう話じゃないだろ!)。