書籍「ゴッチ式トレーニング」(藤原喜明)
【ゴリマッチョになりたいわけじゃない】
筋トレを習慣的にやるようになってから既に40年以上経つが、ほとんど筋肉は付かなかった。少なくとも、いわゆるゴリマッチョになった記憶はない。
それでも、学生時代は体育会でアホみたいな量の筋トレをやらされたから、細マッチョくらいにはなったと思う。しかし、その後の筋肉量は落ちる一方で、今や風前の灯火といった有り様である。こう言うと、必ず「やり方が悪いんじゃないですか」と指摘するしたり顔がいる。
ふん、やり方か。やり方は――、このゴッチ式なのである。ゴッチ式と言われても、分からない人も多いだろう。カール・ゴッチという、その昔「プロレスの神様」と言われたレスラーの編み出したトレーニング法である。ちなみに、カール・ゴッチはショーマンシップ・プロレスに背を向け、ストロングスタイルを貫き業界を干された。最近よくビジネスの場で、強気の交渉をする相手を評して
「彼はガチガチのストロングスタイルでくるから……」
などと言うが、おそらくこのカール・ゴッチから来ているのだろう。
話を戻す。かと言って、私はこの本にある、すべてのトレーニング法をやっているわけではない。踏襲しているのは
①マシンやダンベル等の器具は使わず、自分の体重を負荷にする
②それぞれを履行する回数は、めくったトランプの数で決める
という基本的な2点だけである。
①は、人間を相手に戦うのに器具を使って作った筋肉は使い物にならないというゴッチの格闘哲学に基づく。なんだか、理に適っているような気がする。おカネもかからなくて好い。
②も実際の格闘では臨機応変に筋肉を使うことが求められるという考えからだ。ゲーム性もあって、毎回のトレーニングが惰性にならない利点もある。
もちろん、単に筋肉を作るという観点から言えば、マシン等を使ってプランに基づき決められた回数を毎回こなすのが良いのだろう。また、前述のやり方云々を指摘したしたり顔によると、「マックスの力で1回やれば良い」のだそうだ。
でも、良いのだ。今さらゴリマッチョになりたいわけではないのだから。たまに、いい歳をしてパンプアップした筋肉をこれ見よがしにして街を行く輩がいるが、「カッコ悪いのぉ」と思ってしまうのである(ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。40年以上もやってるのにちっとも筋肉を付けられなかったやっかみです)。