映画「未来よ こんにちは」(主演 イザベル・ユペール)
2022
7
26
映画「未来よ こんにちは」(主演 イザベル・ユペール)
【欲望という名の希望】
おそらくこの映画はラスト付近の一連の言葉に凝縮されるのだろうと思いました。それは「人は欲望があれば幸福でなくても生きていける──」から始まり、「何も望まぬ人は不幸だ。(中略)幸福を手に入れるその前が幸福なのだ」と続きます。
調べてみるとジャン=ジャック・ルソーの小説からの引用のようですが、一理あると思います。この手の典型としてよく上げられるが、結婚でしょう。結婚はする前までが一番楽しくて、した後は気の遠くなるような日常が連綿と続くことになります。あげく彼女のような結末を見ることだってあります。もちろん、結婚によって色んなエポックが人生に彩を添えてくれますが、する前の高揚感には敵わないような気がします。
あるいは、この私設図書館。ここも構想して始める前までが一番楽しかったような気がします。むろん運営している今だって別な喜びはありますがね。
閑話休題。一方で、我々の文化の源である原始仏教では「欲望を捨てろ。欲望があるから苦しむのだ」と説きます。ルソーの言葉は「欲望」を「希望」と置き換えたらしっくりくるし、まさかお釈迦様も希望を捨てろとまでは言わないしょう。
画像引用元 U-NEXT