書籍「雨天炎天 アトス 神様のリアル・ワールド」(村上 春樹 著 松村 映三 写真)
2021
2
16
書籍「雨天炎天 アトス 神様のリアル・ワールド」(村上 春樹 著 松村 映三 写真)
【ギリシャ正教の修道院をめぐる冒険!】
◆◆◆ボランティアスタッフ 吉田柴犬のオススメBOOKS◆◆◆
村上春樹が数多く手掛けている紀行ものの中でも傑作。もともとは写真集といっていいくら豪華な二冊組。柴犬はそのうちのギリシャ編が特にお気に入り。
ギリシャ編は、写真家の松村氏とふたりで、アトス半島、ギリシャ正教の修道院を訪ねるかなりハードな旅。読んでいるうちに映画にもなったウンベルト・エーコの「薔薇の名前」を思い起こす。それでも村上春樹の文章は自由で、辛い苦しい行程ですら楽しく希望すら感じられる。
面白いのは、それぞれの修道院の質素な食事を、ミシュラン風に評価していること。人間って、身体的極限状況になると、どんなものも美味しく感じられるということなのかな。宗教のあり方、不思議さも考えさせられる。
もともと宗教についてはほとんど理解できないんだけど、興味本位、怖いもの見たさで、アトスを一度訪れて、それぞれ修道院でワインとパンを食べてみたいと思う。