小説「コンビニ人間」(村田沙耶香 作)
2022
1
24
小説「コンビニ人間」(村田沙耶香 作)
【主人公はAI?】
「治る」という言葉が終始出てきます。医者でもなく、その手の知識が豊富なわけでもないので、素人診断になってしまいますが、主人公はアスペルガー症候群ではないでしょうか。
主人公に感情や情緒が感じられないのです。それでいて、コンビニの仕事ならば完璧にこなすことができる。おそらく、知性や体力には何も問題がないはずです。これだけ完璧にできるのだから、他の仕事だって、社会生活だって普通にできるだろうとも思えるのですが、そうはいかないようです。
そういえば先日、近い将来コンビニはAI管理により無人化されるのだと新聞で読みました。コンビニの仕事には感情や情緒は必要ないのかもしれません。逆に言えば、他の多くの仕事や社会生活は人としての感情や情緒抜きではできないということになりますが、そのことが主人公のような人たちにとっては生きづらいのでしょう。
もっとも、主人公のようにAIもどきに徹してしまえば、生きようもありますが、どっちつかずの白羽さんが一番苦しそうな印象を持ちました。