ドラマ『オペレーションZ~日本破滅、待ったなし~』(主演 草刈正雄)
【財政再建の好機に消費減税?】
このドラマにあったように、今の日本をフツーの家庭に例えれば500万円の年収しかないのに、毎年1,000万円支出する生活を続けているということになる。当然足りない分を借り続けなければその暮らしは維持できないが、借金は返せる見込みのないまま1億円を超え、なおも膨らみ続けている。
国に戻して考えると、国債を売ることで賄っているその借金は、今や1,300兆円を超えてしまった。これまでのところ、国の信用力や自国通貨建て国債であることなどからその買い手が途切れずにいるが、もちろん永遠に続く保証はない。
ひとたび買い手がつかなくなれば日本の信用力は一気に毀損し、国債・株式・通貨の三重暴落が起こって、やがては月次インフレ率が50%を超えるようなハイパーインフレになる。そうなれば長期金利が急騰し、企業は連鎖倒産、失業者が急増する、というのもこのドラマの筋書き通りだ。
ハイパーインフレと言っても想像しにくいが、ドラマでかつてのアルゼンチンの惨状を訴えていたように、店に行っても品物は無い。たとえあっても、おいそれと買える値段ではない。行政サービスが機能しなくなるから、事件や事故が起こっても警察も来なければ、救急車も来ない。ごみも収集されず街に悪臭が漂うなか、暴動や略奪が常態化する──。
したがって、そうなる前に財政を健全化させねばならない。だが、これまでのようにデフレ下では財政出動により景気を下支えする必要があったから、それも難しかった。
ところが、ここにきてデフレからインフレになった。これは、借金を減らして財政を再建する千才一隅のチャンスだ。低金利時代の債務価値が目減りするからだ。やるべきことは一般家庭と同じで、支出を減らして収入を増やす。それしかない。
ところが、である。今の高市政権はなおも財政を拡大して、借金をさらに増やそうとしているのである。そればかりか、消費減税までして財政健全化の好機をみすみす逃そうとしているのだ。こんな悪手があるだろうか──。
もっとも、今回の決定が果たして将来の日本に吉と出るのか、凶と出るのかは、正直私には分からない。現実の世界では机上の経済学と異なり不確定要素が多すぎるからだ。だが、英フィナンシャル・タイムズ紙が「奇妙な決定をした」と報じたように、セオリーと真逆のギャンブルであることは否めないだろう。そのギャンブルに付き合わされるのは我々国民である。
よって高市首相は、なぜ今、減税が必要なのか、そしてどういう理屈でその余りある弊害を回避できるという自信があるのかを自らの言葉で国民に説明すべきである。「公約だから」は理由になっていない。
画像引用元 PrimeVideo WOWOWオンデマンド

