News 2025.12.14
テーマ「みち」の創作物募集します!
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書籍『花のような人』(佐藤正午)

書籍『花のような人』(佐藤正午)

【800字で描き切る花にまつわる話】

当館では、来年年明けから「じゃじゃの作文大賞」という企画を始める。一つのテーマを定めて(第1回のテーマは「みち」)、そのテーマにまつわる文章を募集する企画である。ジャンルは小説である必要はないが、文字数は2000字以内(400字詰め原稿用紙5枚分)としている。

文章を書きなれていない人は、原稿用紙5枚は多いと思うだろうし、逆に普段から書いている人は少ないと思うに違いない。書きなれていない人も応募しやすいように2000字以内であれば、いくら短くても良いことにしている。

一方、書きなれていて文字数が少なすぎると感じる人はこの本を参考にしたら良いのではないかと思う。この本には、「花」をテーマとした28篇の短い話が収められている。

一つの話は1行当たり32文字×23~25行だから、およそ700~800字。つまり原稿用紙にして2枚分といったところだが、たった原稿用紙2枚でこれだけ余韻の残る話が書けるとは──、流石はプロだなあと感心するに違いない。

短い話となれば、ショートショートを思い浮かべる人もいるかもしれない。だが、ご存知の通りショートショートは①斬新なアイデア ②完全なプロット ③意外な結末 が三原則と言われるから、ちょっと違う。

超短編小説、あるいはあまり馴染みのない言葉ではあるが、掌編小説という部類に入るのだろう。手のひらに乗るほどの短い小説という意味らしい。そこに書かれていない言葉──つまり行間を想像して、まさに余韻を楽しむ。

以前にも何かの折に触れたが、私は五〇を過ぎた頃に突然、小説を書きたくなった。自分は依然、未熟者だと思っているのに、社会というシステムからは早晩、退場を余儀なくされる──、そんな焦りにも似た気持ちを、当時私の周りで起きた出来事に重ねて小説にしてみたくなったのである。

これが書きだしたら止まらない。原稿用紙にして500枚近く書いても、全然終わらないのである。そのうちに、小説を書いているのか、単なる身辺雑記を書いているのか分からなくなって、投げ出したのだった。

私の愚にも付かない過去を晒して何を言いたいのかと言えば、長くダラダラと書くことは誰にでもできる、ということだ。逆に原稿用紙数枚で、ひとつの物語を描き切るのはおいそれとは出来ない。

おいそれとは出来ないが、このようにたしかに出来る。そして、長くとりとめのない話は誰も読まないが、短くて面白い話なら皆が読みたいと思うはず。

多数のご応募、お待ちしております(因みに、本稿は1039文字です)

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