News 2025.10.10
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映画『劇映画 孤独のグルメ』(監督・主演 松重豊)

映画『劇映画 孤独のグルメ』(監督・主演 松重豊)

【食材探しの旅に納得感がない】

配信しているAmazon Primeでは本作に星が3.5ほども付いているし(本稿執筆時)、コメント欄では絶賛している人もいるので、そうした高評価をしている方々には申し訳ないが、今回は辛口評価になる。

もとのテレビドラマ版『孤独のグルメ』は大好きだ。あれで紹介される飲食店には是非行ってみたいといつも思う。好きが高じて、私個人のラインスタンプは「井之頭五郎」である。

だが、これはいただけない。あれだけの豪華キャストを集めて、さらには海外ロケまでして、わざわざ映画にする必要があったのだろうかと思うのである。

とにかくストーリーとしてかなり無理がある。展開にまるで必然性が感じられないのだ。

井之頭はパリに住む高齢の日本人顧客から、子供の頃に食べていた「いっちゃん汁」なるものを作ってくれと言われ、その食材探しに顧客の郷里・五島列島に出向く──と、そこまで良い。実に興味がそそられる。

しかしその後、フェリーに乗り遅れたからと言って、一人でパドルボードを漕いで離島に行くとか、案の定遭難し漂着した先でその辺にある食材でサバイバル鍋をつくり、食あたりになるとか……、あげくそこは何と韓国の自給自足の島だった──なんて、あり得ないだろう。

だが、それ以上に残念だったのは、まぼろしの「いっちゃん汁」に近づいていく臨場感がまったく得られなかったことだ。行く先々で、出汁の食材一つひとつを探り当てていくような──例えてみればジグソーパズルのピースを嵌めていき、徐々に全体像が浮かび上がるような──そんな臨場感、ひいては納得感がまったくない。

もっとも、ドラマ版の本作だって、もともとそんな壮大な話は何一つない。むしろ日常の仕事のちょっとした合間に、偶然見つける食との出会いがテーマだから、本作にそれを期待してはいけないのだろう。だとすれば尚更何故、映画化したのだとも思うのである。

思うにこれは、ヒットしたドラマ版の映画化にありがちなパターンで、長年ドラマ版を支えた松重豊やスタッフへの慰労を兼ねた海外ロケだったのだな、などと下衆な勘繰りをしたくなる(あくまでも個人的な意見ですwww)。

画像引用元 映画.com

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