News 2025.10.10
11/15(土)健康セミナー「腸と食事と健康と」を開催します
佐鳴湖近くの小さな図書館
BLOG

テレビドラマ『BOSCH/ボッシュ』(主演 タイタス・ウェリヴァー)

テレビドラマ『BOSCH/ボッシュ』(主演 タイタス・ウェリヴァー)

【ボッシュ、それはホウレンソウしない男】

以前、CIAのエージェントを扱ったテレビドラマ『ホームランド』を視て、主人公キャリー・マディソンはやむなくコンプラ違反する女だと評した。それに対し、この主人公ハリー・ボッシュはホウレンソウしない男である。しかもおそらくは意図的に。

ロサンゼルス市警ハリウッド署殺人課に在籍するボッシュは優秀なベテラン刑事である。数多の難事件を解決した実績を持つ。

しかしそれだけに、マニュアルから外れた捜査も厭わない。その姿勢はしばしば組織の内部では摩擦を生み、内務監査の対象となったり、マスコミに叩かれたりもする。良くも悪くも(本人の意思に反して)目立つ刑事なのだ。

上層部は彼の実力を認めながらも、自分たちの管理責任を問われることを恐れて、とにかく「報告しろ」「連絡しろ」「なにかあったら相談しろ」と彼に所謂「ホウレンソウ」を求める。

もちろん、仕事のできる彼は「はい、はい」と聞き流すのみである。事件の捜査は常に流動的なのだ。逐一ホウレンソウなどしても、次の瞬間には事態は変わっているのだから、何の意味もないことを彼はよく知っている。そんなことをするくらいなら、1秒でも長く捜査に集中したいのだ。

しかしそれ以上に彼が嫌うのは、ホウレンソウを受けた上司がああしろ、こうしろと現場の状況から外れた明後日な指示を出すことなのだろう。それに振り回されることが嫌なのだ。かつて「会社一ホウレンソウをしない男」と呼ばれた私には痛いほどよくわかる。

日がな一日、デスクの前に座っている彼らはやることがなく、暇なのだ。だから、頻繁にホウレンソウを求めて、それに応えて暇を埋めてくれる素直な部下が大好きなのだ。逆に、自分の関与しないところで大きな仕事を成し遂げる部下が面白くないのである。

「それは言い過ぎだ。我々管理職には管理職としての立場がある。部下の行動の説明責任とか…」

という声もあるだろう。もちろん、私とてプレイング・マネージャーとして管理職の一端も担っていたから、分からないではない。

組織は当然、そうした彼らの理屈で動くので、ボッシュはシリーズの最後で刑事のバッジを叩きつけるようにしてLA市警を辞することになる。おそらく彼は他の誰より市警を誇りに思い、市警を愛していたはずだ。私も同じような思いで、長年勤めた会社を同じようにして辞めたのだった。

画像引用元 Amazon Prime Video

PAGE TOP