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映画「メタモルフォーゼの縁側」(主演 芦田愛菜 宮本信子)

映画「メタモルフォーゼの縁側」(主演 芦田愛菜 宮本信子)

【純粋女子の転生物語】

58歳差の友情物語という触れ込みだが、あまりそこに焦点を当てすぎると、この作品を見紛うように思う。その友情を結ぶのが何故BLなのかがポイントなのであろう。

BL──ボーイズラブという言葉があるのは以前から知っていた。また、その意味するところも構成する単語から何となく想像はしていた。ウィキペディアには「男性同性愛(ゲイ)を題材とした小説や漫画などのジャンルを指す用語」だとあるが、昔からそうしたジャンルの創作物はあったから、あれを今風な呼び方にしただけだろうと思っていたのだ。

しかしこの映画を観ると、少し様子が違うようだ。どうやらBLと呼ばれる創作物は、昔のようにそれを指向する男性向けに創られたものではなく、ごくフツーの女子向けに書かれたり、描かれたりしたもののようなのだ

BLを好む女子??? それは、どう解釈したら良いのだろう。この映画に出てきたような純愛モノBLであれば、その一途な愛の純粋性に共感するということだろうか。この58歳差の二人、佐山うららと市野井雪はそのようだ。

だが、それを異性間の恋愛にではなく、男同士のそれに求めるのは何故か──。たぶん(これは私の想像に過ぎないが)、彼女たちは女性が恋愛に絡むと途端に純粋性が失われると潜在的に思っているからではないだろうか。そのことは、クラスメートの女子の所作──男子の目を意識して髪をかき上げる──に、うららが冷めた目で鼻白むシーンに見て取れる。

もっとも、BLは純愛モノだけでなく、中には性的描写の過激なものもあるに違いない(知らんけど)。だとするとBLを好む女子というは、女性を性的指向とする男が男女間の絡みばかりではなく女性同性愛モノのAVも楽しむことが出来るのと大して変わらないのかもしれない。

おっと話が逸れた。つまりBLを愛する主人公うららは純粋なのだと言いたかったのだ。打算的に生きたり、小賢しく生きたりすることができない。だから自分がどう生きるべきか、どの道に進むべきかを思い悩む。そして彼女はやがて自覚する。自分に正直に生きようと。

もちろん、自分に正直に生きれば楽とは限らない。正直に生きることが辛く苦しいときだってある。むしろその方が多いだろう。でも後から振り返れば、「ああ、楽しかった」と心から言えるに違いない。同人誌を作り終えたあの時のように。

ちなみに、タイトルにある「メタモルフォーゼ」とはドイツ語で「変身、変容、転生」などという意味である。どこかで聞いた言葉だなと思って調べたら昔、工藤静香が歌った曲のタイトルだった(どうでもええわ!)。

画像引用元 PINTSCOPE

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