YouTube「5/28 中日×西武 ハイライト」(東海テレビ公式 ドラHOTpress)
【低迷する西武ライオンズで考える組織論】
埼玉西武ライオンズが勝てない。6月9日時点で18勝39敗。断トツのリーグ最下位である(最下位に「断トツ」は誤用かな?)。こうした不振を受け、この5月28日からのセ・パ交流戦を前に松井稼頭央監督は事実上解任され、以来GMでもある渡辺久信氏が監督代行を務めている。しかし、一向に復調の兆しは見えない。
思うに、渡辺代行は初陣となったこの試合の入り方を間違えた。私のようなファンはもちろん、選手も新しい指揮官に期待したと思う。何かを変えてくれるはずだと。この辺は企業の経営に似ている。経営者が代われば、株主も社員も期待する。
しかし彼はそこで新機軸──これからはどういう野球をやっていくのか──を示せなかった(少なくとも私にはそれが見えなかった)。低迷企業の業績を新社長が回復させるには、従来とは異なる方針を打ち出す必要がある。
その際、新社長は当然その会社の強み・弱み等をあらためて分析するだろう。今年のライオンズの強みは、12球団1,2を争う投手力である(その投手力も負けが込んでいるうちに変調をきたしているが)。一方、打力は目を覆いたくなるような貧打である。
──となれば自ずと、投手を中心に「守って勝つ野球」になるはずだが、松井監督は新外国人野手の打力に期待するあまりか、その辺りがあやふやだった。したがって、渡辺代行は
「守りの野球=最少失点で勝つ野球を徹底する」
という方針を示すべきだったと思う。
ところが、彼は代行就任後の6連戦で、守備に難のある元メジャーリーガーのコルデロをスタメン起用した。打って勝つ野球を目指すのであれば、守備に目をつぶってでも、というのも分かるが、最少失点で勝つ野球をせねばならないときに、あの起用はあり得ない。事実、この試合に投げた今季のエース格・今井はコルデロの拙い守備を機に崩れてしまった。
以降も渡辺代行は、不振の打線をなんとかしようと少しでも打撃が上向きな選手がいると日替わりでスタメン起用することを繰り返している。がしかし、私にはまるきり的外れに思える。今、彼がすべきは
- 最少失点で勝てるように守備力の高い選手
- 四球で出塁できる選球眼の良い選手
- 少ないチャンスを拡大できる盗塁や走塁に長けた選手
- 走者を進塁させる犠打を確実に打てる選手
でスタメンを固めることなのだ。打撃に関しては無視しても良い。
それじゃ高校野球ではないか、プロの打線にならない、と言うかもしれないが、所詮皆が1割や2割そこそこの打率しかないのだ。誰が打とうが大差ないのは、もう十分証明されている。それでもと言うなら、得点圏打率の高い選手を5番目の優先順位に加えても良いだろう。
新社長の方針を可視化するのは、組織編制であり、そこに抜擢する人事である。もちろん、すぐに結果は出ないかもしれない。だが、新機軸が明確になれば、社員(選手)はそれに沿って業務(野球)を遂行せざるを得ない。いずれ見えてくるものはあるはずだ。
画像引用元 BtoBプラットフォーム業界チャンネル