書籍「YOGAポーズの教科書」(綿本彰)
【伸ばした膝にKISSをする】
これは、ともすると自慢に聞こえるかもしれないが──、いや正直に言おう。今回は、申し訳ない、自慢したいのだ。「凄いじゃないですか!」と褒めてもらいたいのである。
というのは、ついに長座前屈(両足を伸ばして座り、体を前に倒すストレッチ)で顔が膝に着いたのだ! 以前書いたように私は二十数年前から、四つのストレッチからなる真向法という運動を毎朝やっている。長座前屈を除く三つのストレッチは早々にマスターしたのだが(開脚前屈も2年で腹が床に着いた)、長座前屈だけは遅々として進まず、それでもやっと手で足の指を掴めるところ──膝と顔の距離が10数センチ程度──までは来た。ところが、そこからが何かがつかえたようにピタリと止まってしまっていたのだ。
まあ、長座前屈は顔を脚に着けるのが目的ではなく、あくまでも下半身の裏側を伸ばすことにあるのだから、別にいいやと思っていた。だが、一方で二十数年もやって出来ないことに、どこか悔しい思いもしていたのである。
それが──、去年の暮れにたまたまネットで見たヨガの動画で、片足ずつ伸ばして前屈するポーズ(本書で言うところのポーズ22「ジャヌ・シールシャ・アーサナ」)が紹介されていたので、試しにやってみた。すると私の場合、左が極端に硬いことが分かった。そこで、あらためて当館の蔵書にあった本書を見ながら左足を重点的にやったところ、両足を伸ばした長座前屈も、例の何かがつかえている感覚がなくなり、僅か三日で伸ばした膝にキスをすることが出来るようになったのである。
これは率直に言って嬉しかった。私の歳になると身体的なこと、運動的なことは良くて現状維持、ともすると去年まで出来ていたことが出来なくなっている。そうしたなかで、新たに出来ることが増えるなんて! 夢のようである。
それと、このポーズをやってとても良かったと思うは──、ストレッチを始めてからずっと、やればやるほど体が左右どちらかに捻じれるような気がしていた。それが、このポーズで左下半身の裏側を重点的に伸ばしたところ、その捻じれた感覚が解消された(ような気がする)からだ。
ということで、今回は「自分を褒めてやりたい」という自慢の報告で申し訳ない。これを奇貨としてヨガのいろんなポーズに挑戦してみようかなとも思った次第である。