小説「書楼弔堂 破暁」(京極 夏彦 作)
2020
12
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小説「書楼弔堂 破暁」(京極 夏彦 作)
久しぶりに京極夏彦を読んで、相変わらずの京極ワールドを堪能しました。このところ同時並行で遅々として進まない難解本ばかり読んでいたので、この分かりやすさ、面白さは砂漠のオアシスでした。
いや、書いてあることは結構難しかったりします。京極堂シリーズ同様、主人公の書舗の主人が理屈っぽいというか、回りくどいというか……。しかし、その長々とした口上を聞くとスッと肚に落ちるのです。そう、まるで憑き物が落ちたように。
「世の中は虚実半々でできている。そしてその半分の虚は言葉でできている」。なるほど! そこから人は真実を掬い取るわけですね。