映画『教皇選挙』(主演 レイフ・ファインズ)

【誰であっても教皇になれる?】
カトリック教会で新しいローマ教皇を選出するための教皇選挙会議──コンクラーベ。映画の中では詳らかにされていないが調べてみると、会議に出席して選挙権者となりえるのは80歳未満の枢機卿ということらしい。枢機卿という言葉も我々日本人の多くには馴染みがないが(ちなみに浅学な私は映画『スターウォーズ』で初めて知ったくらいだ)、カトリック教会において教皇の最高顧問であり、教皇を補佐する役割を持つ高位聖職者のことだという。
その枢機卿が世界各地からバチカン宮殿内のシスティーナ礼拝堂に集まって、新しい教皇を選ぶための選挙をするわけだ。有効投票数の3分の2以上の得票者が出るまで何回も続けられる。会議は秘密裏に行われ、投票用紙は都度焼却される。その煙の色で、外部に選出の成否を知らせる。黒い煙は選出失敗で、白い煙が教皇決定である。テレビのニュース映像などで広く知られた光景だ。
前述の通り、3分の2以上の票を得る者が出るまで何回も続けられることから、「コンクラーベは根くらべ」などという駄洒落もよく聞かれるが、実際にはどうやって収束するのだろう。皆が皆、頑なに最初に投票した候補者に固執していたら、いつまでも終わらないはずだ。その辺、なにかルールがあるのかと思ったが特に無いようだ。
ということは、あまり誰とは拘らない浮動票が相当数あるということだろう。そうした浮動票は永遠に終わらない選挙を続けるよりも、投票回数を重ねる中で情勢を読んで、次の回で3分の2を得そうな候補者に投票して終わらせるというのが実態ではなかろうか。美人コンテストと同じ原理である。自分の好みではなく、皆が美人だと思いそうな女性に一票を入れる、あれだ。
この映画でもあったように、聖職者であっても俗世間と変わらず皆、私利私欲で生きている側面があるのは否めないだろう。そして、誰もが一長一短あるのである。大きな目で捉えれば誰であっても大差はないのかもしれない。その意味で特に誰とは固執しない姿勢は正しいのだろう。
ところで、教皇の候補者というのは事前に何人か立候補者が名乗り出ているわけではないようだ。というか、洗礼を受けたカトリック教徒の男性になら誰に投票しても良い、というのが建前である。この一見広く門戸が開いているかに見えて、その実…というところがこの映画の大きなポイントになる。
でもさあ、30年も前の女性問題を取り沙汰されて、教皇に相応しくないとされるのってどうよ。そんなことを言われたら、教皇になれる人なんて居なくね? 俺、絶対無理だわ。てか、俺はそもそもカトリック教徒じゃなかったわ(だったら黙ってろって!)。
画像引用元 Yahoo! Japan ニュース