NHKスペシャル「OSO18 “怪物ヒグマ”最期の謎」
【そのパターンはもう止めようよ】
私は普段、ほとんどテレビを視ない。たまに視ることがあっても、スポーツ中継か、報道・ドキュメンタリーの類に限られる。それらも民法では全くと言って良いほど視ない。つまりNHKでしかテレビは視ないのだ。
世間ではNHKについて色んなことが言われているが、私は総じて満足している。番組の質の良さは、民法と比べ物にならない。スポーツ中継ひとつとっても実況アナウンサーが当該スポーツをよく勉強していることに感心させられるし、ドキュメンタリー等であればなおさらだ。よって、NHK解体論などもってのほかだ。これからも受信料を積極的に払っていきたいと思っている。
しかし最近、一部の番組の作りが(若者受けを狙ってか)、民放化しているのが気にかかる。NHKは、面白おかしくするためにひな壇芸人など呼ぶ必要はないのだ。地味のままで良いから、ただひたすら番組の質を高めて欲しい。
さて、このドキュメンタリーも、そうした傾向の表れだろうか、途中まではNHKらしい質の高さが感じられたが、ラストへの持って行き方が極めて安直に思えた。
北海道の東部一帯で、2019年から23年にかけ家畜を襲撃していた雄のヒグマ・OSO18(最初の被害現場オソツベツの地名と、前足の幅が18センチメートルから命名)の最期を追った番組である。番組が進むにつれ、OSO18が人間社会の被害者であることを視聴者に匂わせる。
私はその時点で嫌な予感がした。だが、たしかにヒグマ本来の主食(木の実や山菜等)を人間が開発により奪ってきたのは事実だろう。だから、そこまではやむを得ない。しかしその後、OSO18の捕獲に尽力してきた特別対策班のメンバーが
「このままだと、第二、第三のOSO18が出てくるのは間違いない」
と言い、さらにはラストでナレーターが
「人間が造り替えた自然の中で、(OSO18は)肉に執着するようになってしまった……」
と視聴者に語り掛けるのを視て、NHKがこれでは駄目だろうと思った。この手の番組に限らず世の中(SDGs系の映画等も含めて皆)、このパターンなのだ。
「こうなったのは私たち人間のせいです」
と原罪意識に訴えて、ハイ終了。
じゃあ我々は100年前の生活に戻れるのか? 10年前だって無理だろうと思う。となれば、NHKならもう少し違うパターンを考えませんか? と思うのである。
画像引用元 マイナビニュース