書籍「ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] 」(服部正也 著）

【やる気を見出すことが何より大事】

著者の当地での功績を軽んじるつもりは毛頭ありませんし、またこういう例えはルワンダに甚だ失礼かもしれませんが、偏差値40の受験生を50～60に上げることは、50を60～70に上げるよりも容易かもしれません。基礎・基本さえ身に着けば、自ずとそこにはいくからです。

もちろん、その受験生にやる気のあることが前提になります。その意味で著者はルワンダ人を劣後して扱うことなく、その勤勉さを見出したことが大きかったと思います。世の中に優秀な人はたくさんいるけれど、多くは当時ルワンダに居た外国人顧問等と同じように、上から目線で「お前たちは馬鹿で怠け者なのだ」と決め付けて、その在任期間を無為に過ごすか、相手の無知に付け込んで利権をむさぼることに勤しみます。

ましてや著者のように、経済改革に止まらずインフラ整備まで広げた大きな絵を描くことなどしないでしょう。その辺りに著者の非凡さを感じますし、ゆるぎない使命感とそれを支えた正義感に敬服します。

そして巻末の増補を読むにつけ、何より彼の在任中政情が安定していたことが一番だったのかもしれないと思いました。