映画『ブラックバード 家族が家族でいるうちに』(主演 スーザン・サランドン)
【最後は自分の意志で】
科学至上主義者である私は神の存在などもちろん信じてはいないが、もしも神様なんて御仁が居たとして、その彼が本当に万物を創ったというのなら声を大にして苦情を言いたい。
なんで人間の一生の最後の最後になってまで苦痛を与えるのかと。宗教的な説明は色々あろうが、ノーサンキュ―である。私が言いたいのは、なぜ死ぬときに多くの場合苦しんだり、痛い思いをしなければならないのかということだ。最後ぐらい誰もが安らかに終われるようにしてくれても良いじゃないか!と思う。
この映画の主人公リリーは、自らの意志でそれを実現するために安楽死を選択する。進行性の難病ALSを患う彼女は数週間以内には歩くことはおろか、食べることすらままならなくなる。そこで、彼女は医師である夫ポールと相談して、非合法ではあるが薬を使って自死することに決める。そこには、もう十分生きたという充実感が感じられる。
この映画は、その前夜と当日を普段は離れて暮らしている二人の娘(とその家族)や親友に囲まれて過ごす様子を描く。
私も是非、そうしたいと思う。後述する理由から家族に囲まれてというのはあえて望まないが、死は自分の意志で選択したいのである。治る見込みのないまま、管につながれて生き続けるなんて、リリーと同様まっぴらだ。一部の国のように本邦も早く安楽死を合法化して欲しいと切に願う。
だがそれが認められたとして、私はそのときになったらリリーのように決断できるだろうか。
私も普段はもう十分生きたと嘯いているが、いざそのときになれば前述のような気持ちに反してもう少し生きたいと思うのかもしれない。あるいは、やはり怖さが勝って先延ばしにしてしまうのかもしれない。
それでも、自分の意志で決断できるのなら、最後はしたいと思う。映画では母がそうすることに娘二人は未だ心の準備ができておらず一悶着も二悶着も起こすが、やがて彼女らも納得する。
私が家族に囲まれて…をあえて望まないのも、その辺にある。私の子どもたちも私の意思を尊重して欲しい。
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