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映画『サブスタンス』(主演 デミ・ムーア)

映画『サブスタンス』(主演 デミ・ムーア)

【不老とは元の自分を損なうこと】

あなたは、もしも薬によって若返ることができるとしたら、それを望むだろうか?

私は、こんな架空の問いに何の意味もないと思うので、仮にそれに付き合うとすればの話だが、望まない。以前にも書いたが、自分の野暮な性格が変わらない限り、大して人生は変わらないように思うからだ。もう一回、この人生を繰り返すのはちょっとしんどい。

しかし、若くなるだけではなく、より美しく、より完璧になれると言われたら……? 例えばもしも若い頃のキムタクのようなルックスを得られるのなら(キムタクって、我ながら例えが古いな)、少々野暮な性格でも……。少し心が動くのは否めない。

もちろん、薬物だからリスクはある。さあ、あなたなら、どうする?

この映画の主人公エリザベスは、50歳の誕生日に長年務めていたエアロビクスのレギュラー番組を降板させられてしまう。だが、ひょんなことから若さと美しさ、そしてより完璧な自分を得られると謳う怪しげな薬物を手に入れる。

その薬のカラクリはこうだ。老いた自分に投与すると、自分の身体から遺伝的に同一で若く完璧なもう一人の自分が分離する。だが、自分とそのもう一人の自分は同時には生きられない。

1週間ごとに一方が眠りにつき、もう一方がその個体の人生を生きる。つまり、人生の持ち時間を分け合うわけだ。この7日ごとに交代するというルールは絶対で「例外はない」と注意書きにある。

そして、新しい自分は若さを保つために7日間毎日、寝ている老いた自分から定量の髄液を抽出し、それを若い自分に注入する必要がある。もしも7日を超えて定量以上に抽出すれば、元の自分の老化はより加速する。「忘れるな、あなたは一つなのだ」という警告が意味深である。

当然の帰結として、若いエリザベスであるスーはルールを破ってその若さを謳歌しようとする。若かりし頃のキムタクになった私でもそうするように(だから古いって…)、1週間を超えて生き、老いた自分から髄液を過剰に採取してしまうのだ。

その結果、エリザベスは醜悪に老いていく──、映画はその辺りまでは哲学的で面白い。だが後半はハチャメチャのドタバタ劇に変容してしまう。

古今東西、不老不死は権力者の、いや人類全体の夢である。だが、この映画はそれが実現した途端、新しく生まれた若い自分によって元の老いた自分は損なわれてしまうのだと示唆する。映画の秀逸な前半が、後半のドタバタによって損なわれてしまったように。

それでもあなたは若返りたいだろうか?

PS:影時60歳超のデミ・ムーアは体を張ってよく頑張りました!

画像引用元 映画.com

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