News 2026.04.05
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映画『くちびるに歌を』(主演 新垣結衣)

映画『くちびるに歌を』(主演 新垣結衣)

【未来の自分に伝えたいのはか】

「拝啓、82歳の私へ……」

この映画に触発されて私も15年後の自分に手紙を書いてみようと思った。が、これが書けないのである。

映画は、恋人を亡くした傷心のピアニスト柏木ユリが郷里に戻り、母校の中学校で合唱部の指導に当たる中で、15歳の彼らに刺激を受けて再び前を向く、という物語だ。

この映画の重要なモチーフとして、15年後の自分に手紙を書くというのがある。コンクールで唄う曲(アンジェラ・アキの「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」)を深く理解させるためにユリが部員に出した宿題だ。

私はアンジェラ・アキのこの曲は、映画の主題歌として後から作られたのだとばかり思っていたのだが、調べてみると彼女の曲が先にあって、それをもとに原作小説が書かれ、さらに映画化までされたというのが実際のようだ。アンジェラ・アキが15歳の時に自分宛に書いた手紙を彼女の母親が保管していて、30歳の誕生日に母親から渡された──そのことをもとに作られたのだと言う。なるほど。だから、この曲はこんなにも胸に迫るのか。

そこで冒頭の通り、私もトライしてみたのだが、これが書けない。5年後の自分なら今の延長で想像もつく。10年後でもなんとか行けるかもしれない。逆に20年後、30年後となると、これはもう遠すぎる未来なので、夢物語としてどうとでも書ける気がする(もっとも私の歳ではほぼ確実に昇天しているが…)。

しかし15年後となると、困った、どうにも想像できないのである。ちなみに15年前の私はどんなだったっけ、と思い返してみた。当時は、今の私設図書館を開く構想に着手した頃だったな──などと思い出しているうちに、なるほど、そういうことかと膝を打った。15歳の彼らにとって、15年前は生まれていないか、生まれたばかりなのである。当然、当時の記憶はない。私のように思い返すことができないのである。

ということは、15歳の彼らは15年前の手掛かりもなく、新たな15年後に向けて手紙を書く。15年前を思い出すことは出来なくても、それでも15年間で得たもの、失ったものはある。それを改めて問い直し、未来の自分に何を伝えたいか、今の自分が最も大切にしたいこと──劇中に出てきた自閉症の兄を持つ悟の手紙がまさにそうだった──それならたしかに書けそうだ。

「拝啓、82歳の私へ

今も貴方は私設図書館を続けていますか?」

画像引用元 Prime Video

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