News 2024.04.15
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映画「17歳」(監督 フランソワ・オゾン)

映画「17歳」(監督 フランソワ・オゾン)

【17歳に戻りたい?】

不特定多数の男たちとの売春を重ねる17歳の少女イザベル。裕福な家庭に育った彼女がなぜ、そんなことをするのか、大人たちは理解できない。いや、おそらく彼女自身もわかっていない。

彼女には一つの諦観があるようにみえる。「人間など一皮剥けば皆同じ。セックスの虜囚に過ぎない」というようなそれだ。

要するに彼女は純粋なのだと思う。純粋であるがゆえに、少女から大人になっていく自分の心と身体を持て余し、そして戸惑う――。若いころ誰もが経験することだが、それにうまく折り合いをつけて、やり過ごせるかどうかなのだろうと思う。

いや、うまくやり過ごしたつもりあっても、ずっと消化しきれずに歳を重ねることだってある。むしろ、その方が普通かもしれない。

その典型が、再婚しながらさらに浮気をしているイザベルの母親だろうし、老いた身体に鞭打って(バイアグラまで服用しながら)、イザベルを買春し続け、あげく彼女との行為の中で死んだジョルジュだろう。

ひょっとしたら私だって、未だに消化しきれず老齢を重ねているのかもしれない。終盤に登場したジョルジュの奥さんは、

「17歳は美しい歳。勇気さえあれば、異性にカネを払わせ抱かせることも出来る」

とイザベルに言った。彼女に勇気のなかった当時の自分を重ねたのだろう。

だが、だからといって、私は17齢に戻ってやり直したいとは思わない。戻ったところで、野暮な性格が変わらない限り、大して違わない未来が待っているだけだろうから――。

画像引用元 kino films

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