News 2025.03.31
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映画「陪審員2番」(監督 クリント・イーストウッド)

映画「陪審員2番」(監督 クリント・イーストウッド)

【貴方は名乗り出るだろうか】

こういうことって、我々の日常生活の中でもフツーにあり得ることのように思える。もちろんそれらの多くは、この映画みたいに人命に関わるような大ごとではなく、もっと些末で取るに足らないことである。

たとえば、職場でゴミの分別の不徹底が問題になったとする。状況から察するに前日に貴方の棄てたゴミが問題になっているっぽい(が、確信はない)。しかし皆は、以前に分別がいい加減だった某氏が今回も犯人だと実しやかに囁いている。そんなとき貴方は、それは自分であると名乗り出るだろうか。

映画の主人公ケンプはある事件の陪審員に任命される。その事件は、被疑者のサイスが交際相手のケンドルを殺して遺棄したというものだ。サイスは前夜ケンドルと酒場で口論していたことから容疑を掛けられたのだ。ケンプは心中穏やかではない。なぜならケンドルの死体は、その夜ケンプがクルマを運転中に何ものかをはねた橋梁の下で翌朝発見されたからだ。

そのとき、彼はクルマを降りて何をはねたのか確認しようとしたが、深夜で暗く雨が強く降っていたこともあり、早々に切り上げてしまった。路上には何も見当たらなかったし、近くにあった「鹿に注意!」の看板を見て、たぶん鹿だろうと思ったのだ。鹿ならケガを負いながらも逃げ去ったのだろうと。もちろん、そうした事実があったことは検事も弁護士も他の陪審員も知らないし、ケンプも明かさない。

事件の審議は、ケンプの良心の呵責から紆余曲折を経ながらも、サイスを有罪とした評決が下される。しかしある日、ケンプの自宅に検事がやって来て……というところで映画は終わる。

普通に考えれば、この後ケンプが逮捕され、サイスは刑を解かれるものと予想される。しかし、ケンプがはねたのは本当に鹿だったという可能性はないのだろうか。少なくともケンドルだという証拠は今となっては何もないのである。

そのときに破損したヘッドランプの部品などとっくに廃棄されているだろうし、ケンドルの着ていた服にケンプのクルマの塗料が付着していたかもしれないが、それも既に処分されているだろう。

となると、彼は限りなく疑わしいものの、ケンドルをはねて殺したと立証するのは難しいように思える。では、その場合サイスはどうなるのか? 既に刑が確定しているからそのままなのだろうか?

アメリカの司法制度がどうなっているのか知らないが、そこはケンプの可能性も含めてもう1回審議し直すべきだろう。そのうえで、サイスもケンプも証拠不十分で無罪ということにならないのだろうか。そもそもサイスは物証がないのに印象だけで評決されたのが間違いなのである。

貴方の職場の分別ゴミ問題も、既に証拠となるゴミはないのだ。犯人探しをしても詮無いことである。

画像引用元 U-NEXT SQUARE

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