News 2025.04.02
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映画「逃げきれた夢」(主演 光石研)

映画「逃げきれた夢」(主演 光石研)

【夢は現実の中にある】

ときどき当館のご利用者の方から第二の人生で夢を実現していて羨ましい」と言われることがあります。が、その度に若干の戸惑いを覚えます。というのは、今やっていることがかねて夢だったという自覚はないからです。

たしかに六〇になったら新しいことを始めようと、五〇くらいからあれこれと考え、準備してきたのは事実です。しかし、やりたいこととやれることのギャップを埋める中で、その新しいことは二転三転し、結果として今の形になったに過ぎません。最初からこれをやろう、これを実現するのが夢だ! などと思っていたわけでは決してないのです。

それは大学を卒業して、初めて職に就いたときも同じでした。どうしてもやりたかった仕事ではなかった…というか、そもそもやりたい仕事などなかったのです。

共通していたのは、「そのとき(卒業だったり、定年だったり)が来たら嫌でもここに居られなくなる。だったら、早めにその後の居場所を決めてしまおう」という焦りにも似た気持ち──。

でも、そんなあやふやな気持ちで決めたからと言ってその後「やりたいことが見つからない」などと後悔したことはありません。やりたいことは、やっていく中で見つかったからです。今だってそう。

さて、本作の主人公・末永周平は定時制高校の教頭をしていて、教育に生涯を奉げてきましたが、特に生徒に慕われているわけでもなく充実感はありません。家庭でも妻との仲は冷え切っており、一人娘には始終疎んじられています。

おまけに彼は、何らかの脳疾患を発症しているようで、行きつけの定食屋で支払いをしないまま店を出たりしてしまう。医者からは「5年で40%…」と告げられ、残されている時間は少ない──。

そうした中、定年まで残すところあと1年の学校を辞めることにします。別段やりたいことがあるわけではないのに…。

映画の終盤、くだんの定食屋で働いている元教え子の平賀南が沈んだ声で言います。

「やりたいことが見つからない。夢がある人が羨ましい。でも海外には住みたいかも……。(中略)あたしって何もないよね」

彼女の話に自分を重ねた末永は何一つ気の利いた言葉を掛けられません。しかし別れ際、彼女に微笑みかけます。

「正直に言う。こいつ、絶対に海外に住まないと思った。まあ、お互い後悔しないようにやっていくだけだ

そう言った後、軽くため息をつきながら

「まあ、後悔したって良いか…」と呟いて背を向けます。

画像引用元 映画「逃げきれた夢」公式サイト

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