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映画「土を喰らう十二ヵ月」(主演 沢田研二)

映画「土を喰らう十二ヵ月」(主演 沢田研二)

【四季折々を楽しむ余裕と素養】

私も還暦を過ぎてから家族と離れ、郷里・浜松に戻って独居生活を始めた。理由はいろいろある。が、一言で言えばこの映画の主人公ツトムのような気ままな一人暮らしに憧れたのである。

既に5年ほど経つ。たしかに気ままは気ままである。ただ私にはこのツトムのように四季折々の生活を楽しむ余裕もなければ素養もない。したがって、料理をはじめ家事全般は超テキトーだし、何につけマメではないから当然、松たか子のような素敵な女性にも縁がない(女性にモテるにはマメに勝るものはない)。

そもそも私はツトムみたいに「食」に関するこだわりがまるでないのである。もちろん、旨いものを食べれば旨いと思うし、不味いものは不味いと感じる。だが、たいていのものはそれなりに「美味しい…」とつい思ってしまうのだ。

だから、彼のように食材にこだわり、手間暇をかけてまで、美味しいものを作ろうと思わない。なぜなら、そんなことまでしなくてもそれなりに旨いと思うから……、我ながらつまらない男なのである。

だがそんな私でも分かる。ツトムは自分から一緒に住もうと松たか子演じる真知子に言っておきながら、真知子がその気になったら断った。真知子が「少し考えさせて」と答えを保留した間に、彼は突然の心筋梗塞で倒れて、それで死を身近に感じたのだろう。

遠からずして自分は死ぬ──。それがいつかは分からないが、真知子よりずっと早いことは確実である。あとに遺される真知子の身の上──それは妻に先立たれたツトムの今と重なる──を想わずにはいられなかったのに違いない。

そう思うのは、実は私も浜松に戻る際は当時親しかった女性と暮らすつもりでいた──と言いたいところだが、つまらない私にそんなことがあるはずもなく、本当は大型犬を飼って生活の潤いとするつもりでいた。しかし、実際に飼おうとすると、私の方が先に逝く可能性を考えずにはいられなかった。あれこれ思案した結果、やむを得ず諦めたいきさつがあるからだ。

こんなことを言うと、犬と私を同列で考えていたの⁈ とまた怒られそうだが…、いや、そんな女性はいなかったのだった。

画像引用元 土を喰らう十二ヵ月公式サイト

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