映画「ナイトスイム」(監督 ブライス・マクガイア)
2025
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映画「ナイトスイム」(監督 ブライス・マクガイア)

【邪気を実体化してはいけません】
プール付きの豪邸。好いよなあ、いつかは住んでみたい。そんな憧れは元MLBプレイヤーでも同じらしい。
故障し引退を余儀なくされた主人公のレイは、リハビリをしながら現役復帰を夢見ている。プールでの水中トレーニングが効果的だというのは、後付け的な理由に過ぎない。彼は只、それが欲しかったのだ。
しかし、そのプールで怪異が発生する。何か居るようなのだ。中古物件とはいえ、綺麗に掃除した後なので、魚とか両生類とかの類ではない。どうやらそれは、このプールが昔、池だった場所だということに起因しているようだ。
池があったということは、その辺りは低湿地だったのだろう。本来、人間が住むのには適していない土地である。
もう何十年も前のことだが、低湿地での住宅地開発で苦労した覚えがある。千葉県某所でのことだ。その一帯は、圧密層と呼ばれる腐食土を多く含む地層が厚く堆積していた。近くにはやはり大きな沼があった。
そうした低湿地帯では、宅地にすべく盛土工事を行っても、盛った土は直ぐに沈下してしまう。まるで一晩で土が無くなったかのように見えるので、「お化け丁場」などと呼ばれる。
そのような土地は当然のことながら水はけが悪く、滞留した水がそこにある動植物の死骸を、ひいては土までをも腐らせる。昔の人や未開の人々が邪気を呼ぶと考えても不思議はない。この映画の発想もおそらくその辺りにあるのだと思う。
でも怪異が怖いのは、その正体がわからず、いったいあれは何なのだろう、どうしてあんなことが起きるのだろうと思っているうちだ。実体が見えると途端に拍子抜けしてしまう。この映画でも、早々に大きなてるてる坊主みたいのを見せられるのだが、それがなんだか間抜けで……。
画像引用元 Amazon Prime Video