映画「イコライザー」(主演 デンゼル・ワシントン)
2024
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映画「イコライザー」(主演 デンゼル・ワシントン)
【場末のダイナーで交わす粋な会話】
男は、行きつけの場末のダイナーで本を読む。今読んでいるのは、亡くなった妻から薦められた「読むべき100冊の本」の91冊目だ。ヘミングウェイの「老人と海」。
やはり常連の娼婦──とはいえ未だ少女と言っても良い──から声を掛けられる。
「もう釣れた?」
「まだだ。大魚だからな」
と初めて言葉を交わす。教養を要する粋な会話だ。
男は、凄腕の元CIA諜報員。今は引退して市井に身を置く。現役の頃に比べたら、衰えは隠せないが、それでもまだまだ十分に闘える。その辺りが、「老人と海」の老漁師サンチャゴと重なる。
映画は典型的な勧善懲悪モノ。ストーリーも実に単純明快で、少女を悪の巣窟から救う。最近は大どんでん返し狙いで捻り過ぎのモノが多い。ほんのちょっとしたシーンを見逃したり、僅かな会話を聞き逃したりするとわけが分からなくなってしまう。だから、たまにはこういうストレートなものが好い!
にしても、これだけ強かったら、こういうこともしたくなっちゃうだろうなァ。だって世の中、大小さまざまな悪が蔓延っているもの。自分が動くことで、その悪を一掃できるのなら、ウン、やるだろうな。
でも現実には、いくら元CIAだってこんなに強い人間はいないのだろうし、よしんばいたとしても、その悪を一掃したところで別の悪がすぐに台頭してくるに違いない。キリがないし、ある意味徒労なのだ。
それでも、この男はやり続ける。サンチャゴのように。
画像引用元 CINEMORE