新書「長生きしたければ股関節を鍛えなさい」(石部基実)
【要するに整形外科へ行けと?】
股関節は柔らかい方だと思う。だがその一方で以前から(たぶん5年以上前から)違和感も持っていた。いつも右の股関節から腰にかけて何か重くスッキリしない感じが続いていたのである。
それが今年の夏、ソファの上で横に寝ころびながら足を組むという不自然な格好でテレビを視ていたら、ふいにどこかが外れたような感覚がして、そのとたん右股関節が痛くなった。
当初は一晩寝れば治るだろうと軽く考えていたのだが、痛みがほぼ無くなるまでに1か月以上もかかってしまった。そんなときフツーの人はなら早めに整形外科にでも行くのだろうが、何と言っても私は病院嫌いである。なので、そのときも自分でストレッチなどをして治そうとした。
たしかにストレッチの直後はいくらか良くなったような気がした。だが、時間が経つと以前より痛みが増すようになったので、これはきっと何もしない方が良いのだろう──野生の動物は怪我をしたときに治るまでじっとしているではないか──と思って止めた。それが良かったのかは分からないが、何もせず安静にしていたらやがて快方に向かった。
この本には、股関節は使えば使うほどすり減るだけだとある。まあ、そうなのだろう。野球でも近年、投手の肩は消耗品だという考え方が浸透している。ひょっとしたら、ヒトの関節というのはすべからく消耗するのかもしれない。
だから闇雲に運動するのは逆効果だと著者は言う。股関節周辺の筋肉を鍛えるべきだと。それについても基本的にはアグリーであるが、この手の本で紹介されている運動は概して軽すぎて効いている気がしない。私のような天邪鬼はかえってやる気にならないのである。
読み進めると結局、手遅れにならないうちに整形外科に行け、というのが結論のようだ(整形外科医の書いた本だから当然か)。しかし、病院嫌いの私にとって整形外科は医院の中でも極めて満足度の低い場所なのである。
いつどこの整形外科に行っても高齢者で満杯の待合室に何時間も待たされる。そして、あまり納得のいかない診断をされ、言われるがままに効果が実感できない電気治療を施され、あげく大量の湿布薬を渡されて大枚を払わされる。タイパ、コスパともに最悪な場所なのだ。(整形外科関係者の方、スミマセン。個人の感想です。)