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新書「第一次世界大戦はなぜ始まったのか」(別宮暖朗)

新書「第一次世界大戦はなぜ始まったのか」(別宮暖朗)

【プロレスのバトルロイヤル?】

第一次世界大戦はサラエボの一青年がオーストリアの皇太子を暗殺したことがきっかけとなって始まった──というのは遥か昔、中学か高校で習った覚えがある。

しかし、それが何故遠い日本までをも巻き込んだ世界大戦に発展したのかは教えてくれなかったように思うし、私もあの頃は気にも留めなかった。中高生だった当時は無理もないと思うが、この頃の私はその辺りについて妙に気になるのである。

それは、おそらく最近の世界情勢が第一次世界大戦前に似ていると言われているからだろう(第二次世界大戦前と言う人もいる)。トランプ米大統領は戦争嫌いだとされるが、やっていることは世界の分断を煽っているようにしか見えない。

そんなときに目に留まったのが本書である。表紙の帯に「誰もがやりたくなかった戦争が860万人の若い兵士の命を奪いヨーロッパを崩壊に導いた」とある。

しかし読了しても、なぜ世界大戦となったのかは良く分からなかった。周辺各国に色んな思惑があって、それらが複雑に絡み合ったようではあるが、今一つ判然としない。

とにかく登場人物が多過ぎる。もちろん小説などのフィクションではなく、現実に起こった出来事だから、色んな国の色んな人が関係するのは当然であるが、それにしてももう少し分かり易く説明くれないものかと著者を恨んだ。

読んでいて、私の頭に浮かんでいたのは、プロレスのバトルロイヤルという試合形式である。リング上を所狭しとばかりに10数人の大男たちがのっしのしと歩き回っている。そうした中、偶然肩のぶつかった二人がいきなり殴り合いを始める。二人の激しい動きに、脇に居てとばっちりを食った男がそこに参戦する。すると、さらにその隣の男も……。あれよあれよという間にリング上のそこかしこで格闘が演じられる──というあれである。

たしかにあれが何故ああなるのかを分かり易く説明せよと言われても、難しいのかもしれない。結局、上記の通り一人ひとりの動きを書き連ねるしかないのだろう。

そんなわけで近い将来、世界大戦に至る可能性があるや無しやを探るうえでは、本書は何の参考にもならなかったのだが、ほんのささいな偶発的出来事が大戦にまで発展するということはあり得るようだ。

それにしても……と思うのは、私の人生はこれまで戦争を体験しなかっただけでも幸せだったということである。がしかし、このまま体験せずに死ねるかは怪しくなってきたと思えてならない。我々は今、戦前を生きている。

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