News 2025.11.04
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テレビドラマ『弁護士ビリー・マクブライド』(主演 ビリー・ボブ・ソーントン)

テレビドラマ『弁護士ビリー・マクブライド』(主演 ビリー・ボブ・ソーントン)

【尻の座りの悪さに見るオリジナリティ】

なんとも尻の座りの悪いドラマである。いや、面白くないと言っているのではない。むしろ面白かったのだろう、多分。一気に4シーズンすべてを視てしまったのだから。

だが、その面白さがよく分からない。主演は映画『アルマゲドン』やテレビドラマ版の『ファーゴ』にも出ていたビリー・ボブ・ソーントンである。好きな俳優だ。

彼が演じる主人公のビリー・マクブライドはかつてエリート弁護士であったが、今は酒に溺れた怠惰な毎日を送っている。その彼が三流のロースクール卒で弁護士なりたてのパティや娼婦の友人たちとともに難しい裁判を勝ち取っていくという話である。

原題Goliath(ゴリアテ)は巨人兵士を意味するから、巨大な敵と戦うという含意があるのだろう。こう書いてしまうと、勧善懲悪のヒーロー物と思うかもしれないが、派手なアクションがあるでなし、かと言って法廷で弁舌爽やかに相手をぎゃふんと言わせるというわけでもないのだ。

かつてビリーも創設者として名を連ねた大手弁護士事務所を相手にしたシーズン1など、結果としては何とか陪審員の過半の支持を得たが、なぜ支持されたのか分からない薄氷の勝利だったし、メキシコの麻薬カルテルが絡むシーズン2ではその巨悪は結局無傷のままだったし…。

つまり、ちょっとずつツボを外したような結末なのである。それが冒頭で書いた「尻の座りの悪さ」の正体に違いない。それはテレビ版『ファーゴ』の印象に少し似ているかもしれない。

とはいえ、各シーズンは完結しているわけでもなく、少しずつ繋がっているようだから、おそらく最後のシーズン4ですべてを一網打尽にするのに違いないと思って視ていた。だが、この巨大製薬会社を訴えたシーズン4では終始ビリーに覇気が感じられず、まるで夢遊病者のようだ。結果としては、このシーズンの裁判だけ完全勝利だったが、それまでのシーズンのモヤモヤは解消されずじまい。もちろん、ビリーも喜ぶことはなく、尻の座りの悪さは最後まで残った。

だが逆に言えば、それがこの作品のオリジナリティだと言えるだろう。これも「Amazon Original」だから、私がかねて粗製乱造と指摘しているネット配信サービスのオリジナル作品である。だが、安直な二番煎じ、三番煎じの予定調和に走らなかっただけでも大いに評価すべきだと思う。

画像引用元 Amazon Prime Video

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