テレビドラマ「自転車屋さんの高橋くん」(主演 内田理央 鈴木伸之)
【他人とは思えない鈴木伸之の高橋くん】
あくまでも私見だが、以前にハマった「からかい上手の高木さん」になんだか似ているなあ、と思った。もちろん、タイトルが似ているということもある。が、それを差し引いてもドラマ自体のテイストが似ているように感じた。
たぶん原作の漫画家、あるいは監督または脚本家が同じなのだろうと思い、調べてみたらこれがまるで違った。制作したテレビ局すら異なるではないか。
もちろん、どちらかが真似したというような似方ではない。設定やストーリーも全く違うから、二匹目のドジョウを狙ったわけでもなさそうだ。二つに共通するのは30分ドラマであることくらいか……。いや、最大の共通点はピュアな恋愛物語であるということだろう。
そこには一切の打算がない。見栄とか世間体とかも気にしない。「からかい上手……」は中学2年生の話だからある意味当然だが、この「自転車屋さん……」が好いのは30歳のOLと26歳の自転車屋の間でそれを成立させているところだ。
ちなみに「からかい上手……」は、その後大人になった高木さんと西方を映画化して、この夏に公開されたが、賛否両論あったようだ。私は観ていないので多くを語るつもりはないが、否定的な意見があるのは何となく分かる気がする。大人は中二のようにピュアではいられないのである。もし仮にそうだったら逆に違和感がある。
このパン子と遼平のピュアは中二のそれとは違う。二人とも一般的な基準で言えば生きるのが不器用というか、はっきり言って下手である。故に、恋愛の巧緻な駆け引きはできない。その辺りが、巧緻でもないのに妙に計算高くなってしまった私にはピュアに見えるのである。
そして何よりナイスなのは、主役二人のキャスティングで、とてもこの役に合っているように思う。まず、パン子こと飯野朋子を演じる内田理央の挙動は実に漫画チックで、読んだことのない原作の一コマ、一コマを連想させる。
そして高橋遼平役の鈴木伸之。彼のいかつい風貌は私の若い頃の友達によく似ていて──そしてその友達は遼平のような性格をしていたので、なんだか懐かしい親近感を覚えるのである。
画像引用元 OVO