映画「東京物語」(監督 小津 安二郎)
2021
4
14
映画「東京物語」(監督 小津 安二郎)
【笠智衆は、若い頃から笠智衆だった】
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小津安二郎の映画で一番のお気に入り。この映画の面白さは、世界でもファンがいるという小津監督独自のカメラ、演出のスタイル。固定して低い位置からのアングルで、夫婦の何気ない会話が延々と続く。それもあの笠智衆、寅さんのご隠居様のイメージしかないけど、昔からこんな話し方だったんだ、彼のあの口調で、「そうだなー、母さん」などという台詞はちょっと癖になる。
東京と田舎の意識差、世代間ギャップ、高齢者のみ世帯の不安や喪失感とともに家族を描いた映画だけど、七〇年前はそんなに普遍的なものだったわけでもないと思う。むしろ、今観ても普通に観られることがすごいな、と思う。
この映画のもう一つの見どころは、もちろんタイトルにある東京の当時の姿。だって、「東京だよ おっかさん」という歌もあったぐらいだから、東京に出てきた田舎者の素直な驚きが描かれているのがいいね。