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書籍「リーダーシップ[アメリカ海軍士官候補生読本]」(アメリカ海軍協会 武田文雄・野中郁次郎 共訳)

書籍「リーダーシップ[アメリカ海軍士官候補生読本]」(アメリカ海軍協会 武田文雄・野中郁次郎 共訳)

【リーダーが備えるべき3つの資質】

リーダーやリーダーシップについて書かれた本は数多く出版されていて、私自身もある時期それらをかなり読んだ記憶があります。

ある時期というのは、サラリーマン時代に管理職になった頃だったと思います。意気込んでいたのでしょうね。今から思うと笑っちゃいます。

子供の頃から、さしてお勉強ができたわけでもないのに、リーダー的な役割を任される機会が多くありました。学級委員は小学4年生から高校3年まで毎年やらされましたし、大学では体育会で主将も務めました。たぶん、我が強かったので自分の意見を通しがちで、悪目立ちしていただけなのだと思います。

そんな私が件(くだん)の時期、今一度リーダーとは何ぞやを学ぼうとこの本を手に取りました。まずタイトルが好いじゃありませんか! その名も「リーダーシップ」。実に潔い。そして副題として「アメリカ海軍士官候補生読本」。私が思うに、平時はリーダーなどいなくても事は順調に運びます。リーダーが必要とされるのは、あるいはその真価が問われるのは有事においてです。その意味でも、「アメリカの海軍士官になる人が読む本ならば間違いない!」と思ったものです。

いざ中身を読むと、これがまた実に軍隊の教本らしく、逐一パキッ、パキッと簡潔かつ明瞭に書かれていて、迷うところがありません。いや、これは決して揶揄して述べているわけではなくて、本当に清々しいくらいなのです。

本書によるとリーダーシップの要諦は3つ。その3つとは、①健全な懐疑主義 ②客観性 ③変化への即応性です。

①は、何事も本当にそうだろうか、科学的な根拠があるか──を問い続ける姿勢です。そのときに大事なのは「健全な…」でしょう。疑うことを目的化しないことだと思います。

②は、責任ある立場の当事者であればあるほど、眼前の出来事を凝視しがちですが、その場を離れて遠くから第三者的に見ることの重要性です。一旦バルコニーに上がって、今起きていることの全体を俯瞰せよというわけですね。

③は機を見て敏に動けということでしょう。あるいは朝令暮改を厭うなということ。私が今もお世話になっている某流通大手の会長は「俺は朝礼朝改でいく!」と言って憚りません。

もちろん、リーダーには色んなタイプのリーダーがいて良いのだと思います。先陣を切って勇猛果敢に攻め込むリーダーもいれば、自分はなるべく目立たないようにして、部下を活躍させるリーダーもいるでしょう。

また、本書にもあるように、最高位司令官に求められるリーダー像と、巡洋艦艦長に求められるそれとは異なりますし、部隊長に求められるそれとも当然違ってしかるべきです。

しかし、どんなタイプのリーダーだろうと、あるいはどんな立場のリーダーだろうと、先の3つはリーダーが備えるべき必須の資質だと思いました。

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