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書籍「ChatGPT 対話型AIが生み出す未来」(古川渉一 酒井麻里子)

書籍「ChatGPT 対話型AIが生み出す未来」(古川渉一 酒井麻里子)

【むしろ知識専門職の出番では?】

このところ、ChatGPT(文章生成AI)の話題が喧しい。過日の新聞でも、「高度な知識や経験を必要とするマネジメントや知識専門職などの関連業務の大半はAIが担うようになる」とあった。このテクノロジーにより、単純労働者はもちろん、知識専門職すら仕事を失うかのように喧伝するが、本当だろうか――。そう思い、本書を読みながら、実際にChatGPTを使ってみた。

まず私の氏名を入力して、

「この人物について教えて」

と聞いてみた。すると、

「東大卒の実業家で、ゲーム会社『Cygames』の創業者の一人です」

という。もちろんデタラメだ。何かの間違いだろうと思い、スレッドをあらためて同じことを聞くと今度は、なんと

「漫画家として活躍していて、『俺は鉄平』や『AKIRA』を描いています」

ときた。私は漫画家のつもりはないし、そもそも「俺は鉄平」と「AKIRA」の作者は同一ではない。回答の再現性もない。

そのうえ、なかなかの頑固モノで、

「その人物は私設図書館の運営に携わっているはずだが?」

と問い直すと、

「漫画家としての活動と並行して、おっしゃるとおり私設図書館の運営もしていて……」

と漫画家であることは撤回せずに、もっともらしく答えた。

だが、こうしたことをもって使えないとするのは早計だろう。本書から推察すると、ネット上に偏在する量の多い情報から優先的に集めてくるので、結果としてそうならざるを得ないのだ。その後も色々な質問をしてみたが、情報量の多そうなものはそれなりの答が返ってくる。ネット上には嘘も氾濫しているから、その情報ソースによっては嘘や根拠の乏しい答となることも当然あるわけだ。

だが、実際の人間だって嘘をつくこともあるし、知ったかぶりをする人だっている。その真偽を都度見分けるのは、受け取る側の資質に依拠している。同様にChatGPTとの応対だって、そうした資質が必要になるのは当然だ。そこにこそ高度な知識や経験をもつ知識専門職が必要になるのではないだろうか。

また本書によると、質問のクオリティを高めることが答の質も高めることに直結するというから、まさに知識専門職こそが使いこなすことが出来るはずだ。私も含めて多くの人は、自分の専門外のことは自分が何を分かっていなくて、何を知りたいのか、という質問を適切に設定できない。その意味では、このテクノロジーは質問力が試されるのである。結果として、素人と知識専門職との差は開くと思う。

一方、悪意のある利用者によって犯罪等に使われるリスクも種々指摘されている。だが、ChatGPTも文明の利器の一つと捉えるべきで、包丁一つ取っても料理の名人が使うのと、我々素人が使うのでは大きな差が出るだろうし、殺人鬼が使えば当然凶器になりうる。だからと言って、包丁の使用を禁止するわけにはいかないだろう。

蛇足になるが、とある映画の紹介文をChatGPTに200字程度で要約させてみた。予め自分でも作っておいた要約文と読み比べると、その映画の印象がかなり異なる。元の文章のどこに視点を置いて要約するかだから、違ってくるのは当然だ。その辺りもオリジナリティをもった知識専門職の出番だと思う。

なんにせよ、これは面白いものが出来たな。

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