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書籍「街並みの美学」(芦原義信 著)

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【何とかならんのか、日本ののぼり旗文化】

私の職業人生の原点ともいえる本である。これを初めて読んだのは学生時代だったか、社会人になってからだっただろうか。いずれにしろ私は、この都市景観論の古典的名著によって、職業人として自分のやるべきことが見えたような気がしたのだった。

本書は街並みを構成する多くの要素に言及しているが、街路の幅(D)と沿道に立ち並ぶ建物の高さ(H)との関係(D/H)を中心に論を展開していく。そのわかりやすさは専門家とは未だ言い難かった若かりし頃の私に多大なる職業的示唆を与えてくれたのである。とりわけ、日本の場合は沿道建物の外壁輪郭線の曖昧さが街路景観を阻害している──との指摘は我が意を得たりと膝を打ったものだ。その曖昧さの原因は、電柱であったり、袖看板であったり、垂れ幕であったりするわけだが、その最たるものはひらひらと風になびくのぼり旗ではないかと思う。

日本人はこののぼり旗が大好きなようで、店舗の開店やイベントの開催など、何かあると直ぐにのぼり旗を作って沿道に並べたがる。確かに多少人目を引くかもしれないが、同時にチープでシャビ―な雰囲気を隠しがたく周囲に振りまくことに気付かないようだ。著者のそうした指摘は、続編である「続・街並みの美学」やその後の「隠れた秩序」「東京の美学」などの著作でも繰り返し述べられている。しかし未だに日本人ののぼり旗大好き文化は街のいたる所で見られるのである。

ちなみに、私の専門領域はその後、紆余曲折を経て別の分野に移ってしまったが、日本の街並みを少しでも向上させるべく間接的ながら今も関与し続けているのである。

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