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書籍「殺し合いが『市民』を生んだ   いま『ヨーロッパ』が崩壊する(上)」(栗本信一郎ほか)

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【ウクライナの「市民」が抗戦する理由を考える】

この稿を書いている22年3月末時点では、未だロシアによるウクライナ侵攻の停戦に見通しがついていません。21世紀になってまで、こんな蛮行が繰り返されるのは信じられない思いです。

この戦争を巡って日本では早くから一部の識者やコメンテイターが、市民の安全を確保するためにウクライナ政府は直ぐにでも降伏すべきだ、と主張しました。たしかに、戦争という愚かな行為は、必ず罪のない市民を巻き添えにして悲惨な状況をつくり出します。漫画「はだしのゲン」の作者・中沢啓治氏が遺した「君たち、戦争には絶対反対しろよ!」という言葉は限りなく重い──。

一方で、ウクライナの人々は未だ戦う意欲が旺盛のように伝えられます。なぜ彼らは多くの犠牲者を出しながらもそうなのか。それは本書にある「市民」という概念を作ってきた彼らの歴史に答があるように思います。その歴史を一言で言えば「降伏=掠奪・凌辱」です。掠奪の対象は資産だけでなく、人権や自由、生命をも含むでしょう。そうならないようにするために彼らはひとたび事が起これば、皆で武器を取り合い攻め込まれないようにする。その武器を取り合う人々こそが「市民」として認められたらしいのです。

その辺りは、戦国時代であっても戦(いくさ)の勝ち負けはただ単に領主が代わるだけで、一般の領民(多くは農民)の生活は変わらなかったという我が国の歴史からははかり知ることが出来ません。加えて我が国は、第二次世界大戦の敗戦国でありながら、その後目覚ましい発展を遂げてしまったという世にも珍しい国でもあります。

そんな国に居て、だからお前らも早く降伏しろよ、そうすれば平和がやってくる、と言ってもウクライナの「市民」は理解できないのかもしれませんし、場合によっては無責任に聞こえるのかもしれません。

もちろん、私には現代におけるかの国の実情は分からないので、それこそ無責任なことは言えないのですが……。

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