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書籍「枕革命 ひと晩でからだが変わる」(山田朱織)

書籍「枕革命 ひと晩でからだが変わる」(山田朱織)

【巨大な弁当箱のような枕】

「枕難民」という言葉がある。自分に合った枕が見つからずに次から次へと枕を替える人のことだ。私もかつてそうだった。

私は若い頃から肩こりがひどい。おまけにやんちゃして痛めた首が今でも違和感があって、顔というか頭部の座りの悪さを四六時中感じている。たまに整体やマッサージ等を受けると、

「すごいですねえ、この凝り。辛いでしょ?」

と必ず言われる。

そんな私だから毎朝起きると、肩や首筋が重だるくて寝る前よりむしろ疲れを感じる。

「枕が合ってないんじゃない?」

何かの拍子に誰かに言われて──、そのときから始まった最適枕探しの長い旅。

最初は中身にプラスチックのパイプが入った枕だった。次は低反発枕。低反発がだめならということで高反発枕。某通販で人気のメディカル枕──病院などで使われている──も試してみた。ほかにも幾つか買ったように思う。しかし結局全部だめだった。いっこうに朝起きた時の倦怠感は改善されなかったのである。

本書を読んだのは、途方に暮れ諦めかけた頃だった。大事なことは、横向きに寝た時に首から腰までの脊柱が一直線の状態にすることのようだ。そうなるような高さの枕であれば、横向きはもちろん仰向けで寝ても首から肩にかけて圧迫感がなく、人間にとって最適な枕なのだそうだ。当然のことながら、その高さは人それぞれ微妙に異なる。

だから、整形外科医がきっちり計測して作るオーダーメイドの枕が良いのだというスンポーである。本書では整形外科枕と言っているが、一部では通称「山田朱織枕」と呼ばれている。

読後、藁をもすがる思いで購入した。たしか数万円したと思う。もちろん、それまでに買った枕の中では格段に高価だ。

枕のどの位置に頭があっても、適切な高さが保たれるようにとの考えからか、武骨な直方体の枕である。実際に使ってみると、

「うーん、良いんじゃないかなあ……。なんか良いような気がする」

気がするだけで本当に良いかどうかはわからなかった。何万円も出して買ったのだから、これで満足しなきゃ仕方ないというバイアスが働いていたのだと思う。

さて、その山田朱織枕。今、どうなっているか? 実は浜松に移り住んだ際に、捨ててしまったのである。というのは、せっかく自分好みの新居を建て、寝室も極めて気に入っているのに、巨大な弁当箱のような山田朱織枕はどう見ても合わないのだ。

その程度のことだったということである。今はよくある低反発枕で寝ている。毎朝の倦怠感は……もう慣れた。気にしないのが一番なのだ。

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